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▼ 努力の跡

※シェゾ視点


「シェゾ、誕生日おめでとう!」
「うわっ!なんだなんだ!?」

いつものように洞窟に帰ると、そこにはななしがいた。誕生日、ああ、今日はそんな日だったか。
ななしがいつからいたのかわからないがちょっと興奮気味だ。わかったから少し落ち着け。

「シェゾのために今日は一日中洞窟にいました!」
「ちょっと待て!朝もいたってことなのか!?」
「いや、昨日の夜から」

昨日の夜からいたななしにオレは頭を抱えた。昨日の夜からずっと待っていたのか。
だとしたらオレが寝てる間にこいつは洞窟に来ていたのか!?おいおい、睡眠は大丈夫なのか?

「おい、寝なくて大丈夫なのか?」
「平気です!私はそこまでやわじゃないからね!」
「ウィンクをしてもダメだ。さっさと寝ろ!」
「シェゾの意地悪ー!」

ぎゃーぎゃー騒ぐななしに毛布を被せた。ななしはいまだ騒いでいたがお構いなしだ。
と、オレはあるものを見つけた。箱を開けてみるとそこにはケーキがあった。

「あ、それ、シェゾにあげる」
「オレにか?しかし、なんか不格好だな。オレが作った方がいくらかマシだ」
「ひどーい!」

あまり見た目的にぐちゃっとなっているケーキを口に運ぶ。味も甘くはないしどことなくしょっぱい。
そこであいつの手を見る。あいつの手には絆創膏がいくつか張ってあり、これを作るのに相当苦労したようだ。

「味はそこまで自信なかったけど……どうだった?」
「ああ。はっきりいってまずい」
「うう、そこまではっきり言わなくてもいいじゃない」
「だが、悪くない。次はもうちょいマシな物を作ってくるんだな」

オレはそう言って、ケーキを全部食べた。美味しいとはいいがたいが、あいつの頑張りを認めてやる。ほんの少しだけどな。
ななしの方を見ると、ななしは嬉しそうにニヤニヤしている。……ちょっと怖いな。

「お、おい、どうした?」
「だって、シェゾに褒められたから嬉しくて」
「そんなつもりはない!今すぐその顔をやめろ!」
「えー?」

ななしはニヤニヤしながら洞窟内を走り回った。くそ、ちょこまかと逃げやがって。
でもあいつが嬉しそうならオレもまんざらでもない。このことは絶対言わないけどな!

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