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▼ 〇〇しないと出られない部屋

気が付いたら、見知らぬ部屋……もとい、密室にいた。
窓もドアもなかった。唯一いるのはシグのみ。
私は辺りを見回し、なにかないかと見てみた。メモを発見した。

「何々、「キスしないと出られない部屋」……!?」
「何々〜?」
「し、シグ、何時から起きてたの!?」

いつの間にか起きていたシグがメモを覗いていた。
それにしてもキスをしないと出られない部屋か……向こうは気にしてないかもしれないけど正直心の準備が必要だ。

「あ、あのさ、シグ」
「何?」
「き、ききき、キャンディっておいしいよね」
「そうだね」

駄目だ、キスの二文字が出てこない。
いざするとなると勇気が出ない。どうしたらいいのか。

「ななし」
「なに?」
「えい」
「!」

突然シグが不意打ちで私の頬にキスをした。あまりにも唐突すぎたので私は思わず固まってしまう。
メモを見て、キスをしようと思ったのだろう。だったら先に言ってくれてもよかったのでは。

「なにを」
「ここから出たい、からななしにキスした」
「だったら先に言ってくれてもよかったのに」
「ななし、ビビりだから時間がかかる」
「うっ」

シグに鋭い一言を言われた気がする。実際そうだけどさ……。
そうこう思っているうちにいつの間にかドアが現れたようだ。シグはさっさとドアを開け、出て行こうとしていた。

「ななしも出るんでしょ、行こう」
「あ、うん。待って!」

こうして、私とシグは部屋を脱出するのだった。


シグとあなたは『キスしないと出られない部屋』にふたりで閉じこめられました


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