▼ 〇〇しないと出られない部屋
※中編主と同じ
気が付けば、見知らぬ部屋にいた。隣にはリヒターさんもいる。
窓もドアもない部屋で、私とリヒターさんは顔を見合わせた。
「なんでしょうね、この部屋」
「俺にもわからん。バンパイアハンターでも使ってみるか?」
「あ、ちょっと待ってください」
リヒターさんがバンパイアハンターを出す前に、私はあるものを見つけた。メモだ。
メモを拾い上げ、読んでいく。「600円分の駄菓子を二人で食べきってください」と書かれていた。
600円分の駄菓子なんてどこに……と見回しているとさっき見たときにはなかったものを見つけた。少しちょっと多いくらいの駄菓子だ。
これを2人で食べるのはいいかもだけど夕飯がまだなのにそんな食べていいのかとさえ思ってしまう。
そうこうしているうちにリヒターさんが駄菓子を開け、食べ始めていた。
「別に毒なんて入ってないぞ、ななしも食べないか」
「あ、じゃあ、はい、いただきます」
私もリヒターさんに促され、駄菓子を1つ取り食べ始める。手に取ったのはラムネ菓子で食べるとすぐに溶け、少しすーっとした感じがする。
リヒターさんはもう3つ目の駄菓子に入っていた。食べているのは麩菓子だろうか。それにかぶりついている。
「リヒターさん、美味しいですね」
「ああ。でも夕飯までには食べきらないとだな!」
「そうですね!」
それからは終始無言で駄菓子を食べた。時折、「これ美味しいぞ」とか「懐かしいです」などといったセリフが交わされていた。
そうこうしているうちにリヒターさんが最後の駄菓子を食べ終える。と、ドアが突如現れ、扉が開いた。
「どうやら開いたようだな、ななし。行こう」
「は、はい」
私とリヒターさんは扉を開き、部屋を出た。部屋にはいつもの廊下があった。
ファイターは誰もおらず、窓の外を見ると夕焼けが見えた。もう夕飯時だ。
「大変!夕飯の準備しなきゃ!」
「俺も手伝おう」
「ありがとうございます」
私とリヒターさんは慌てて食堂へ走り去っていくのだった。
あなたとリヒターは600円分の駄菓子をふたりで食べきらないと出られない部屋に閉じ込められました。頑張って脱出してください。
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