▼ 〇〇しないと出られない部屋
※中編主と同じ
気が付けば、私とアイクさんは見知らぬ部屋に閉じ込められていた。
ここは窓もドアもない、完全な密室空間だ。
私はアイクさんと顔を見合わせると、呟いた。
「ここ、どこでしょう」
「わからん。だが、こんなものを見つけた」
アイクさんはメモを取り出した。何時の間にあったのだろう。と思いつつメモを覗いてみる。
メモには「キスしないと出られない部屋。30分以内に行ってください」と書かれている。
なんかの悪戯だろうか、と思いつつアイクさんの方を見ると、アイクさんは頭をかきながらため息をついた。
「なんかの悪戯だろう。気にするな」
「でも、ドアも窓もありません」
「……」
アイクさんは黙ってしまった。それから周りを見た後、私の手を掴んだ。
私は驚き、アイクさんの方を見つめた。アイクさんの顔が私の手に接近し、私の手に触れるだけのキスをした。
私は顔が真っ赤になり、アイクさんを見る。アイクさんはなんともないような顔で私を見つめている。
「これでいいだろう」
「そ、それにしても随分あっさりですね……!」
「……俺だって恥ずかしいんだ、言わせないでくれ」
アイクさんはふいとそっぽを向いてしまった。さっきのキスの件については言及しないほうがよさそうだ。
ふと前を見るとドアがあった。アイクさんは「置いていくぞ」と私に声をかけ、先へスタスタと歩いていく。
私はアイクさんを追って、アイクさんと共に謎の部屋を抜けるのだった。
アイクとあなたは『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
30分以内に実行してください。
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