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▼ やさしさじわり

※GLGというか良人夢かもしれない


ある晴れた日、公園で炊き出しを行っていた。
ツィイッターのフォロワーが0になった者はアカウント凍結され、いないものとして扱われる。かくいう私もその1人だ。
おにぎりと豚汁の炊き出しにゾンビアカウントと化した人々は並んでいた。私はその様子を遠目から見ていた。
列が落ち着いてから並ぼう、と思い私はブランコに座りながらその時を待つ。

「君は並ばないのか?」
「!」

突然誰かに話しかけられた。思わず体がこわばる。
声をかけてきたのはつい先日までBランクの王者だった、GLGだった。
そういえば噂で聞いたことがある、GLGがENJバトルで敗北し、フォロワーを失ったと。

「早くいった方がいいんじゃないか」
「れ、列が落ち着いてから並ぼうと思いまして」

私は列を指さして言った。彼は私と列を交互に見つめる。
すると、彼は配給のおばちゃんの元へ行ってしまった。なんかまずいことでも言ったのだろうか、と不安になる。
そんなことを考えていると彼がおにぎりと豚汁を持って、こちらへ戻ってきた。

「はい、君の分だ」
「ありがとうございます。えっと、GLGさんでしたっけ」
「?」
「気にかけて下さってありがとうございます」
「なに、困ったときはお互い様だよ」

そう言って彼からおにぎりと豚汁を受け取り、食べ始めた。おにぎりも豚汁も、とても暖かく、胃に染み渡る。
私が食べている間も彼は私の元にいた。思えば、誰かと話をしたのも久々かもしれない。

「ごちそうさまです」
「うん、いい食べっぷりだったよ」
「そんな、改まって言われると照れます」
「じゃあ、俺は戻るよ。そういえば君の名を教えてほしいな」
「……ななしです」
「ななし、また来てくれると嬉しいな」

そう言って、彼はおばちゃんの元へ去っていった。私はそんな彼を見送る。
また会えたりするのだろうか、と思いつつ、公園を去るのだった。

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