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▼ 不意打ちの恋

※中編主と同じ。男カムイ


私はトレーニング室へ歩いていたらそこである人を発見した。短い銀髪の男性、カムイさんだ。
カムイさんもまた、トレーニング室へ入るところだったらしくTシャツにハーフパンツとラフな格好だ。
私はそんなカムイさんに話しかけた。

「あの、カムイさん」
「あっ、ななしさん!」
「これからトレーニングですか?」
「はい。乱闘前にちょっと体を動かそうかと」

カムイさんはやる気マンマンらしく、張り切っているようだ。
私はそんなカムイさんを見つつ、微笑んだ。そうだ、なにか差し入れを持ってこよう。
そう思った私は食堂の方へ歩き出した。




「カムイさーん、トレーニングはどうですかー?」

私はスポーツドリンクを持って、トレーニングルームへと入った。見ると、カムイさんは汗だくで壁にもたれ掛かって座っている。
乱闘が控えているのに大丈夫なんだろうか、と思いつつ、スポーツドリンクを渡した。

「ほどほどにしないと駄目ですよ」
「ありがとうございます。……ねえ、ななしさん」
「?」

カムイさんは急に私の耳元で囁いた。あまりにも急だったので顔が赤くなってしまう。
私はカムイさんに悟られないように顔を逸らそうとするも、カムイさんの右手が私の頬を撫でた。ほんのりと暖かい手の感触に私はまた、ドキドキしてしまう。

「この後で僕が一位になったら、僕とデートしてください」
「えっ、そんな急だね」
「……約束ですよ!」

カムイさんはスポーツドリンクを一気飲みした後、トレーニングルームを出て行ってしまった。
残された私は頬に残る暖かい感触を指でなぞりながら、その場で座り込んだ。

「ずるいですよ、カムイさん……」

小さくうずくまりながら呟いた言葉は、誰にも気づかれずに消えていくのだった。

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