危機触発で初めまして
今日は新しいファイターが来る日だ。危険、とは言われているが正直どんな相手がくるか予想がつかない。
マスターからは事前に注意事項のようなものを言われているが、まずあって見ないとわからない。
新しいファイターが来るときは必ず館の門前に待つのがお約束だ。来る、と言われた1時間くらい前から待っていた。
「……なんか不安になってきました」
私は空に向かってつぶやいた。と、館に向かってくる人を発見した。
「もしかしてこの人かな……!」
私は背筋をピンと張って待ち構える。その人物はズンズンと館の方へ向かってくる。
その人物が近づいてくるたびにヒシヒシとオーラのようなものを感じ取る。緊張感を与えるオーラ、といったところか。
その人物は男の人で、髪の毛はツンとしており、上半身裸で胴着を着た男だった。正直ここまで来るのに変な目で見られそうではある。
そしてその男の人は館の前で立ち止まり、怪訝な顔をした。
「あ、あの、もしかしてあなたが新ファイターの方ですか?」
「……成程、ここがあの手が言っていた館か」
私の質問を無視し、その男の人は館をじーっと眺める。すでになんか言葉を発すこともいけない雰囲気なのですが……。
「……くだらん。おい女、この館に別荘みたいなところはあるか」
「……べ、別荘ですか。そんなのは生憎ありません。みんな共同生活ですよ」
「だったら今からでも作らせろ。俺はこの館に住まんぞ」
その男の人はギロリと私を睨みつけた後、館から去ろうとする。ま、まずい!ここで帰ってもらったらいろいろまずいことになる(主にマスターへの負担が)
と、男の人の前にモニターが現れた。マスターからの通信だ。
『もしもーし、帰ってもらっては困りますね』
「……貴様か。俺を呼んだのは」
『はい。ちなみにこの館に別荘というものはありませんし作る気もありませんから君も共同生活してくださいね』
「貴様、今どこにいる。殺しに行くから待っていろ」
『生憎ですが、私の位置を教えることはできません。どうしても私と戦いたいなら館での生活をしてもらう、ということでななしの案内に従って生活してください。以上です、カズヤさん』
そう言って、マスターは通信を切った。カズヤ、と呼ばれた男の人からなんかオーラみたいなのが出ているのですが……。
と、カズヤさんが私の方を向いた。め、滅茶苦茶睨みつけているじゃないですか……!
「……チッ、まあいい。女、さっさと案内しろ」
「は、はい、ただいま!」
この状態のカズヤさんを館に入れて大丈夫かどうか怪しいがまずは案内しよう。そうしよう……。
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