風が吹いてきて
今日はなんだか天気がいい。そうだ、買ったばかりの帽子を被ろう。そう思って帽子を被る。
無難なデザインの白い帽子だけど中々被り心地がいい。外へ出ようとベランダに向かう。
「うわっ、結構風強いなあ……」
天気がいいのはいいことだが風も強い。帽子を飛ばされないようにツバを持つが、あまりにも風が強すぎるせいで帽子は飛んで行ってしまう。
「あっ、待って……!」
手を伸ばしても帽子には届かず、木に引っかかってしまう。取ろうとしても無理だ。
こうなったら梯子でも持ってきて取ろう、と思い館に戻ろうとする。
「キッキッ!」
「え、あ、ディディーさん」
声のした方を向くと、そこには木に登り、私の帽子を持ったディディーさんがいた。どうやら帽子を取ってきてくれたのらしい。
ディディーさんは私の元に近寄り、帽子を手渡した。
「ありがとうございます。ディディーさん」
「キッ」
私はディディーさんを撫でた。ディディーさんは嬉しそうにニコニコしている。
「ディディーさんは今日、乱闘休みですよね」
「キィー」
「これからどうするつもりですか?」
「キッキッ」
ディディーさんがジェスチャーをする。館の外へ手を向けているということは館の外へ出るつもりらしい。
あまり遠くまで行かないといいんだけど……と思いつつ、ディディーさんを見る。
「気をつけてくださいね」
「キッ」
ディディーさんはそのまま外へ行ってしまった。私はディディーさんが見えなくなるくらいまでディディーさんを見送った。
今日のお礼にバナナでも送ってあげよう。と思いながら、私は帽子を深くかぶり、買い物に行く準備をするのだった。
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