狂気的片恋のセリフ10題 | ナノ
▼ 4.君のことなら何でも知ってる

※中編主と同じ。病みルフレ


「あっ、ルフレさん」
「ああ、ななし」

私は図書室でルフレさんを発見し、手を振る。
ルフレさんも気が付いたらしく、手を振り返してくれる。
今日は乱闘もないらしく、読書中だったのだろう。本が高く積まれている。

「読書中だったんですか?」
「ああ。今日は乱闘もないからじっくり読もうと思ってね」
「……日が暮れそうですね」

私はルフレさんの横にある本を眺めながらポツリと呟いた。本が10冊以上置かれている。
このままじゃ夜、いや翌日にまでかかりそうだ。
私は乱闘中の皆のところへ戻ろうとする。と、ルフレさんが私の腕を掴んだ。

「? どうしたんですか?」
「ななしさん、好きです」
「えっ!?」

急な告白だった。私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
ルフレさんの他にも今日乱闘がないファイターもいるのだ。もし聞かれたらどうしよう、と一瞬考えがよぎる。
ルフレさんはそんな私の心境も知らず、話を続ける。

「僕のそばにいてほしいんだ」
「えっ、で、でも、」
「……君のことなら把握している。これから他のファイターのところへ行くんだろう?」

ルフレさんはそう言いながら私の腕を握ってる手の力を強くする。ぐっと込められた腕の力が痛い。
いつものルフレさんじゃないだ。私はルフレさんの腕を振りほどこうとする。しかし腕は離れなかった。

「ちょっ、ルフレさん、離してください!」
「嫌だ。こうでもしないと君はどこかへ行ってしまうだろう?」
「私はここのマネージャー……です」
「ああ。そうだ。僕は君の事ならなんでも知ってるんだ」
「えっ」
「そうだね、例えば……君は夜、みんなが寝静まったころに見回りして、たまに大人たちに連行されて酒盛りに付き合ってたり、寝るときにはぬいぐるみを手放さないこともね」
「……!」
「後朝は7時に起きて料理の勉強をしたりとかね。みんなは知らないだろうけど僕は知ってるんだ」

ルフレさんは得意げにベラベラと私の秘密をバラしていく。私は恥ずかしい、よりも恐怖心の方が勝り、ワナワナと震える。
私はここから居てもたってもいられず、図書室を出ようとする。しかし、ルフレさんが腕を掴んでいるため逃げることすらできない。
私はその場でへたり込み、消え入るような声で懇願した。

「……もう、やめてください」
「ななしさんが僕の物になるならやめてもいいよ」
「うう……」

私はただ、頷くしかなかった。
ルフレさんはそんな私の姿を見て、満足そうに微笑むのだった。



4.君のことなら何でも知ってる
お題:狂気的片恋のセリフ10題

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