狂気的片恋のセリフ10題 | ナノ
▼ 3.あんな男のどこがいい!

※現パロ。ヘクトールがある意味危険


「よう、ななし」
「アキレウスさん、こんにちは」

私はアパートから出て、すれ違ったアキレウスさんに挨拶する。アキレウスさんも「おう」と返してくれた。
アキレウスさんはこれからどこかへ向かうところらしくストレッチをしていた。今にも走り出しそうなフォームだ。

「アキレウスさんは今日も仕事ですか?」
「おう。なにせ上からの命令なんでな」
「頑張ってくださいね」
「ななしも頑張れよ」

アキレウスさんは私の頭をポンと撫でながら、走っていった。
毎日大変だなあ……と思いながら、私も仕事場へ向かうのだった。
隣の部屋からこのやり取りを見ていた人物がいたとは知らずに。



「ただいまー、って誰もいないか」

私は家に帰るなり、荷物を玄関に置く。ここには私1人しかいないので挨拶は当然返ってこない。

「おかえりー」
「!?」

突然部屋の奥から声がした。よく見ると明かりもついている。
私は恐る恐る部屋の方へ向かう。そこにはヘクトールさんがいたのだ。
ヘクトールさんは隣の部屋に住んでいる住民であり、あまり話をしたことがなかったからだ。
何故ヘクトールさんがここにいるのか?いや、そもそもどうやって部屋に入ったのか。
私は頭がパンクしそうになり、まともにヘクトールさんを見れなかった。

「えっ、な、なんで……ヘクトールさんが」
「そりゃ合鍵を使ったに決まってんだろ」
「そ、それって犯罪なんじゃ……」
「それより、お前さん今日誰と話していた?」

ヘクトールさんが急に低い声で尋ねる。私はまだ頭が真っ白のまま何も答えられずにいた。
ヘクトールさんは私の肩を掴み、睨んだままこう呟く。

「……アキレウスの野郎と仲よさそうに話してただろ?」
「……」
「なんとか言ったらどうなんだ? ななし」

私は無心になりながら固まってしまう。どうしよう、何が何だかわからない。
何故かヘクトールさんに切れる寸前まで問い詰められている。アキレウスさんと何があったのかは分からないがアキレウスさんと話していたのが気に入らなかったのらしい。
ヘクトールさんはそんな私を押し倒し、顔を近づける。私はハッと気が付いて手足をジタバタさせて暴れるもびくともしない。男と女の力の差は歴然だ。

「あんな男のどこがいいんだ」
「は、離してください……」
「……このままお前さんに俺の所有物ってことを教えてやるよ」
「っ!!」

ヘクトールさんはそのまま私の首筋にかみついた。ピリリとした痛みに声を上げようとするがそのまま唇を塞がれた。
私はこのままなすすべもなくヘクトールさんに犯されてしまうのか。と思い無心になるのだった。


3.あんな男のどこがいい!
お題:狂気的片恋のセリフ10題


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