愛してるから壊したい10題 | ナノ
▼ 8.嫌いになった?

「あれ、こんなところにロビンさんが」

私は仕事場に行く途中、廊下に座り込んでいるロビンさんを発見した。
他の職員やサーヴァント達は、ロビンさんをスルーしてるか気が付いても遠巻きに見てるくらいだ。
私はそんなロビンさんを放ってはおけず、声をかけた。

「ロビンさん、ロビンさん」
「ん……? なんだ、オタクか」
「大丈夫ですか? もしよかったら医務室に運びますよ」
「いや、それはやめてくれ」

医務室に運ぼうかと思ったがロビンさんに止められた。本当に大丈夫だろうか。
もしや先ほどのレイシフトで重症でも負ったのか、と思ったが今日のメンバーにロビンさんはいなかったハズだ。
考え込んでいると、ロビンさんが私の肩を持ち、ぐいっと引き寄せた。

「ちょ、ちょっと……!」
「隙ありってな」
「えっ」

あっという間にロビンさんに抱き寄せる形になってしまった。他の職員やサーヴァントは運よくいなかったおかげで誰にも見られなかった。
ロビンさんのマントにすっぽり収まる形になり、私がロビンさんの腕を押してみるもビクともしない。思ったより強く抱きしめられている。
マントに隠れているとはいえ、こんなところ誰かに見られたらとてもじゃないが恥ずかしい。

「あの、離して、ください」
「おっと、そいつは聞けない相談だ」
「いきなり何を……ふぅっ」

離してほしいと懇願すると、いきなりロビンさんの唇が私の唇に触れた。キスされているのだ。
何が何だかわからない状況になっているとはいえ、いきなりキスされて頭がフリーズしてしまう。
そうこうしてる内にロビンさんの舌が私の舌と絡み合い、息もできないような深いキスをしている。息が、苦しい。
あやうく酸欠を起こしそうになる私に、ロビンさんの唇と舌が離れた。私は床に手を着き、「はっ、はぁぁっ」と声にもならない声で叫びそうになる。
ロビンさんの方を見ると、口元をぬぐい、私の肩に手を置いて、「大丈夫か?」と効いてくる。正直大丈夫じゃないです。

「な、なんで、そんな、いきなり……」
「ななし」
「は、はい」
「俺のことに嫌いになった?」
「へ?」
「つい、目の前のななしが可愛くてついつい意地悪したくなってな」
「ううう〜……」

私はカラカラと笑うロビンさんに脱力した。いきなりこんなことされて嫌いになった?って聞くほうもどうかしてる。と思いつつも声が出ない。
私はヨロヨロと立ち上がり、壁に手をつく。ロビンさんが「肩でも貸そうか?」と聞いてきたが、これ以上何かされるかもしれないと思い、断った。
未だにニヤニヤと笑ってるロビンさんと別れ、私はフラフラの足取りのまま、床へ座り込んだ。

「……嫌じゃないですよ、ロビンさん」

……さて、仕事場に戻る前にこの火照った顔をどうしようか。


8.嫌いになった?
お題:確かに恋だった


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