▼ 7.もういいよ黙って
※※夢主=中編主。だけど中編とはなんの繋がりもないです。
私は控室にタオルと水を届けるためにキッチンと控室を行ったり来たりしていた。
次の相手は誰だったか、と思いつつ、水を冷蔵庫から出す。
その時、キッチンに誰か来た。クラウドさんだ。
「あれ、クラウドさん。どうしたんですか?」
「……ああ、アンタか」
「?」
クラウドさんは何かを気にしてるようでキョロキョロしている。
私は何かあったのかな?と思いつつ、タオルを出そうと選択所へ向かおうとする。
「待て、ななし」
「はい?……うわっ!」
突然、クラウドさんに抱きしめられた。何が何だかわからず、一瞬フリーズしてしまう。
私はフリーズしてる頭をなんとか復活させ、クラウドさんの方を向こうとするも、強く抱きしめられてるようで後ろを振り向くことができない。
「クラウドさん……?」
「悪い、今はこうさせてくれ」
「は、はい……」
クラウドさんに促され、私は黙り込んだ。
なんでこんなことするんだろう?クラウドさんに何かあったのかな?と思いつつ、私は尋ねた。
「あの、なんで、こんなことを」
「……ずっと好きだった」
「はい? ええ!?」
「……悪いか」
「い、いえ、悪くはないですけど、なんでこんなこと、を」
「二人きりになるタイミングを計っていた」
クラウドさんはそう言って、抱きしめる力を強くする。潰れそうな感覚になる。
クラウドさんはただ何も言わず、抱きしめている。こんなところ、他の誰かには見せられない。
「あ、あの、クラウドさん、そろそろ、水をみんなに持っていきたいんだけど……」
「あ、ああ。済まない。だがもうちょっとこうさせてくれ」
「え、でもみんなに見られたら……」
「……ななし、ちょっと黙っててくれ」
「!」
クラウドさんはそう呟いた後、唇になにか暖かいものがふれた。クラウドさんの唇だ。
また一瞬、フリーズしてしまいそうになるが、クラウドさんがそうさせないように舌を捩じり込み、息もできない。
ようやく唇が離されたと思ったら、クラウドさんの腕から離れ、床に倒れこむ……寸前でクラウドさんが背中を支えてくれた。
「はっ、ふっ……何を」
「悪かった。だがこうでもしないとアンタは他のみんなのところに行ってしまいそうでな」
「うう……」
「アンタはちょっとここで横になっててくれ。他の皆には俺が伝えておく」
「ま、待って……」
クラウドさんは私をソファに寝かした後、水とタオルを持って部屋を出て行ってしまう。
残された私は顔が赤く染まったまま、ソファで寝転がるのだった。
7.もういいよ黙って
お題;確かに恋だった
戻る