▼ 1.きみが愛しすぎるから
「ななし」
「なに」
「愛してる」
「はいはい」
私はそんなキバナを軽くあしらう。
ジムリーダー業もあるのに私に構ってる暇などあるのかと言いたくなるがキバナはお構いなしで私に構ってくる。
恋人同士とはいえここまでベタベタするとむずがゆい。
「そもそもキバナ、チャレンジャー待ってるんじゃないの? 行かなくていいの?」
「駄目だ。まずは目先のオレさまに集中しろよ」
キバナはそう言って私の顔に手を当てる。そして少しづつ力を入れると、私の顔がキバナの手によって潰れたようになる。
私は離してほしいと手をブンブン振ってみるがキバナはそれを無視してか、キバナの顔と私の顔が接近する。
そして軽く唇に触れた後、キバナはようやく私から手を離した。
「……もう、キバナってば!」
「悪ィ悪ィ、ななしが愛しくてな」
「だからってキスすることないじゃない!」
私がワナワナと怒ると、キバナは私の頭をポンポンと叩き、スタジアムへ駆けて行った。
残された私は怒るのもバカらしくなり、「あー……」と呟いた後、座り込むのだった。
1.きみが愛しすぎるから
お題:愛してるから壊したい10題
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