愛してるから壊したい10題 | ナノ
▼ 9.壊れても愛してあげる

「い、いや、助けて!」
「どうして逃げるんです」

私はへし切長谷部の手から逃れ、本丸中を駆け回っていた。
足では追い付いてしまうので隠れながら移動しているという感じだったが、つい先ほど長谷部に見つかり、逃げていたところだ。
逃げようとしても長谷部が腕を掴んでくる。振りほどくのもひと手間だ。ようやく離れたと思ったらまた長谷部の手が私の腕を掴んだ。

「離して、なんで、こんなこと……!」
「あなたが俺の物にならないからです」
「だからって……強引すぎるよ!」

私はそれでも長谷部の腕を振りほどこうと必死に逃れようとする。しかし、長谷部は今度は離すまいと腕を強くつかむ。
折れてしまいそうな強い力だったが、それでも長谷部から解放されるべく、振りほどこうと必死になる。

「もしかして神域に連れて行く、とかじゃないよね!?」
「ええ、そのつもりです」
「猶更逃げなきゃ!」
「待ってください、主」

長谷部が腕を手繰り寄せて、私をがっちり抱きしめる形になる。
私は一瞬頭が真っ白になってしまったが、長谷部の腕に収まる形になっていることに気が付き、逃げようとする。
長谷部は逃がすまいと私の頭に手を置き、このままぎゅっと抱きしめた。

「さあ、逃がしませんよ、主」
「は……離して……」
「俺が愛してあげますよ、これからもずっと……例え壊れたとしても」
「!!」

長谷部が耳元で囁いてくる。これはまずい、本気だ。
長谷部の腕から解放されようと必死になるも、長谷部は未だ私をぎゅっと抱きしめたままだ。
これでは逃げられることなどできない、と悟った私は長谷部の胸の中でおとなしくなるのだった。
暴れることをやめた私を見た長谷部は、フッと微笑み、私をどこかへ連れて行くのだった。


9.壊れてても愛してあげる
お題:確かに恋だった


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