▼ 4.食べちゃうぞが冗談に聞こえません
ナックルシティのカフェで私とキバナはのんびりティータイムを楽しんでいた。
私はパフェを、キバナはコーヒーを頼んでのんびりしていた。
パフェを食べているとふいにキバナがスマホロトムをこちらに向けていた。
「ちょっと、ここで撮る気?」
「悪いか?」
「まじまじと見られると逆に食べられないんだけど……」
パフェを食べる手を止め、スマホロトムを向けてくるキバナを注意する。
注意したにもかかわらず、キバナはスマホロトムをなお向けてくる。
「ねえ、ちょっと、やめてよ」
「いや、ななしが美味しそうな顔してっからよ。つい撮りたくなっちまって」
「だからって今撮ることないのに……」
半ば呆れつつも、キバナは今か今かと写真を撮ろうとしてくる。
観念した私はこのままパフェを食べる手を再開させた。
「なあ、ななし」
「なに」
「……お前って美味そうだよな」
「!?」
一瞬パフェを吹き出しそうになったが、キバナの放った一言に私は驚いた。
今、何と言ったか。「美味そう」と。
パフェを食べる手を止め、私はキバナを凝視する。
「いやいやいや、何言ってんのキバナ」
「いや、だから美味そうって」
「こんなところで冗談はやめてってば」
「……冗談ではないぜ」
そう言って、キバナは私の頬に手を当てる。
流れていた軽快なbgmが一瞬、止まる。
そしてこのままキバナはこう言い放った。
「いっそこのまま食べちまいくらいだ」
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