変態に恋されてしまいました5題 | ナノ
▼ 3.くっつかないでください移ります変態が

「やい、ななし!」
「まーた来たよ……」

いきなり現れたシェゾに私はため息をついた。
シェゾは何かあるごとに私の力を求め、その力をよこせと言ってくるのだ。
何時ものように軽くあしらおうとする私だったが、シェゾに何か違和感を感じた。

「あれ? シェゾなんかスッキリしてない?」
「よくぞ気が付いたな! マントはうっかり食べ物の汁がついてしまったので洗濯中だ」
「ああ、道理で」

そう言って私は去ろうとしたがシェゾが私の目の前に立ち塞がってきた。
そんなシェゾをかわして去ろうとするが方向を変える度にシェゾが塞いでくる。

「ちょっと、どいてくんない」
「それは無理な話だ」
「なんでよ」
「それは……お前の……が欲しいからだ!」
「は?」
「しまった! ……お前の『マフラー』が欲しいんだ!」

シェゾが慌てて言い直して私のマフラーを指さした。
私のマフラーが欲しいと言われて私は「ええ……」と引いた。
こいつ、ヘンタイとはいえとうとう私の物まで欲しくなったのか。

「お断りします」
「今、オレは寒いんだ。だからマフラーをよこせ!」
「やだよ! 私だって寒いんだよ!」
「こうなったら力ずくだ!」

シェゾはそう言ってマフラーを掴んできた。
私はぎょっとしてマフラーからシェゾの手を離すべく振るおうとするがシェゾは中々しぶとい。

「やめて! マフラー千切れる!」
「オレはお前がいいと言うまで離さんぞ!」
「ヘンタイが移るしやめてってば!」
「だからオレはヘンタイじゃない!」

ぎゃーぎゃーと言い争う私とシェゾだったが不意にシェゾが手を離したので私は一目散に逃げ出した。
後ろを見るとシェゾが追いかけてくる。

「待てー! マフラーをオレによこせー!」
「やーだねー!」

その後、私とシェゾの追いかけっこは2時間続いたとかなんとか。


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