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鳩尾に、次いで背中に、強い衝撃を受けて崩れ落ちた。服越しに感じる氷のような冷たさが、肌を逆立てる。ずるずると壁にもたれると、越知月光は呻きながら座り込んだ。

「ッはぁ……げほっ……」

血の混じった唾液を吐き出した。唇に当てた指先は、薄暗い赤でべっとりと濡れている。左頬にストレートを食らった際に、誤って犬歯が擦れたのだろうか。口内で微かに鉄の味がする。用具倉庫の中の冷ややかな空気が気管支を侵食した。
胸の奥が熱く痺れている。ジンジンと無数の小さな針に刺される感覚が、興奮によるものか物理的な打撃によるものか分からない。しっかりと感覚が焼き付いているのは確かだ。
パキパキと乾いた音が遠くで鳴った気がした。毛利寿三郎が指の関節を鳴らす音だと越知は知っている。

「月光さん、無様っすね」

すぐ傍でしゃがみこんだ毛利は、脇に挟んでいた木刀を故意に落とすと、鈍く光る妖艶な目で彼を睨み付けた。狂暴な視線を受け、越知は痛む背を震わす。
犬……いや、狼だ。毛利が越知を追い詰める姿は獰猛な狼そのもの。犬のように愛くるしくじゃれつく姿など微塵もない。越知が弱小動物という訳ではないが、今の2人の間には迫るものがある。
顎を強引に引き寄せ、乱雑な口付けを交わした。相手の事を一切考えない口付け。自分がいいように、毛利はめちゃくちゃに舌を引っ掻き回した。

「んっ、うぐ……ふっ!」

お互い、血の味の接吻にはもう慣れた。毎回の事だから、もしかしたら慣れない方がおかしいかもしれない。後ろ髪を鷲掴みにして、更に深く舌を絡めた。息が続かないのか、越知は隙を見て必死に空気を吸っている。弱々しく回された細い腕は、腰元を静かに抱き寄せた。しかしその手はばしっと叩かれて払いのけられる。
口を離した毛利は、わざと見せつけるようにべろりと自分の口回りを舐めた。酸欠になっていた越知は、瓶の栓を抜いたように突発的に咳をした。紅くなっていた顔は徐々に元の顔色に戻っていく。

「ふはっ、月光さんはほんま可愛えっすね」

「ぐっ……」

涙ぐんでとろとろの瞳が毛利を余計にその気にさせた。

「ほんま、いつにも増して……」

頬に微量の血をつけた傷だらけの姿。荒い呼吸と震える体に、たまらなくそそられた。

「月光さん……恥ずかしいことしましょか」

木刀を持って立ち上がった毛利の足がズボン越しに勢いよく股間を捉えた。

「い゙っ……!」

突き抜ける激痛で大きく体が揺れた。ビクビクと足をばたつかせてもがく。それに構わず、硬い靴底が性器を踏み躙った。

「ぐ、うっあ!いた、……ぃたいっ!」

頬を、大粒の滴が伝うのが見えた。それが涙なのか脂汗なのか知る術はない。

「痛い言うときながらかとうなってますやん」

硬質さを含み始めた陰茎を足裏で感じ、力強く踵を押し付けた。

「殴って蹴っただけでこないなりはるんすか?変態っすね」

「は……ぁ、んぐ……っ、あ!」

上のジャージをはだけさせ、両腕に巻き付けて頭上に拘束した。ユニフォームの上から木刀で胸板をぐりぐりと抉る。丁度乳首のある辺りを執拗につついてよだれを吐かせた。
ゾクゾクと背中にむず痒さが走る。越知の眉間にシワが刻まれ、下へ伸びた睫毛が震えた。粗っぽく擦り続けるたびに短く熱い吐息がこぼれた。

「っ、あ゙……ぁあっ……!」

だらしなく開いた脚が時折震える。自分でいいように腰を揺らしているのに、越知本人は気付いていないようだ。
服越しでも分かるほどツンと立った乳首を潰し、木刀の先を顎の下に当てた。背けようとする顔面を無理やりこちらに向ける。

「うっわ、バキバキに勃っとる……。ドマゾやんけ、気色悪い」

膨張し、槍のように直線を描いたぺニスを、今一度力任せに踏みつけた。仰け反っていた全身が、途端に折れ曲がったように前傾になる。

「がっ……!!ァ……あぅ!」

悲鳴とも呻きともとれない無様な声が飛び出す。見開いた目から温かな滴がぽたりと落ちた。

「痛いっすか?」

冷徹に微笑みを浮かべる。額を真っ青に染め、越知は歯を鳴らした。

「い……たぃ……、もっと……優しく……」

「あんたに優しゅうする意味なんかあらへん」

あてがっていた右足を、そのまま上下左右にこねくり回した。乱雑に性器をいじられ、越知はたまらず股を閉じようとする。が、毛利の冷たい眼差しに射抜かれてしまった。

「閉じたらあきまへんよ」

「ーっ!……く、ぅ……あぁあ、あ!」

下着と擦れ、靴と擦れ、……勃起しきった竿は、これでもかというほどに足の下で硬直している。
血流が速く激しく全身を行き交う。あんまを食らっているうちにぽーっとし始めた。

「……っ、も……ダメ……だ、出した、い……!」

目の前がぼやけ行く世界で、ぴくりと、毛利の眉尻が動いた。

「出しはるんすか?」

足が股間から離れる。突き抜けそうな心地よさが丹田で待機している。

「無理だ、っ……もう、……でそう」

「……早っ。まあええわ」

首を横に傾け、不気味に口の端を吊らせた。
腰元に手が伸びる。液でびしゃびしゃに濡れてしまったパンツを引きずり下ろすと、赤々とした鮮やかな粘膜が目に入ってきた。先走りから蜜が溢れ、筋に沿って下へ溶けて行く。
ぬるり。ゼリーを被ったようにトロトロと光を反射する雄を、手のひらで生暖かく包み込んだ。

「ひっ!」

やんわりと軽く握ってみる。越知は唇を噛み締めて嬌声を飲み込むばかりだ。

「出すん?」

亀頭に爪を立て、無理に食い込ませた。赤く柔らかいそれが局所的に潰れ、ぐちゅっと嫌な音を携え変形した。

「い、い゙っ、ぁあ!っあ、ぁあ……!」

首が振られ、歯が擦れる。足の指が突っ張り、腹の底に電流を帯びた。あっと思う間もなく、とてつもない粘りけを伴った白濁が噴射した。

「!」

握ったままの毛利の手が白に覆われた。大量の精液が爪やシワの隙間に入り込み、べとべととした不快感を放つ。

「……ぅ、かは……、あぁ…………」

耳元で心音が響く。下半身につっかえていた熱いものを吐き出し、ぐたりと壁にもたれた。腰元に流れた電流はどこかへ消えてしまっている。唾液が地面に滴るのも構わず、冷ややかな空気を吸い込んだ。
体液だらけの竿からおもむろに手を離す。握ったり開いたりしてみると、糸を引いて水音を立てた。

「……月光さん」

マリンブルーの瞳を見つめる。銀色の前髪の奥、怯えた双眸が揺らいだ。

「口、開けて」

怒気を孕んだ語尾に、白い歯が一瞬合わさるが次第に上下に広がる。赤紫の口腔と舌が映えるようになると、毛利はそこへ白い指を容赦なく突っ込んだ。

「んぐっ!ぁが……!」

喉まで指が届き、一度えずいた。次いで僅かな苦味を感じ、生臭さが鼻へ抜ける。

「手、綺麗にして」

生ぬるい固形物が口内で蠢く。柔らかな舌が、控えめに指に触れた。

「ん……ふ、ぅん……」

気持ち悪さが募った。カウパーとザーメンが混ざり合ったそれは、飲み込むには少し苦痛を伴う。ましてや自分のものだと意識してしまうと、余計に喉が詰まった。こんなに臭くて飲みにくいものを口に入れて、吐き気を感じない筈がない。

「はよせぇや」

中々手の不快感が取れず、毛利が苛立ち始める。軟口蓋の手前を指の腹で圧迫され、耳の裏へ刺激が伝った。

「っ……!くふ、ん、ぅう!」

緋色の舌が必死に動き回る。舐めたくもないものを喉の奥へムリヤリ押し込み、少しずつ嚥下した。
何分もかけてようやく飲み下すと、口から異物がするりと抜けた。

「……おっそ。何分かかっとんの?はよせぇって言うたやろが」

ぼーっとした脳が一瞬で痛覚に支配された。固い爪先が、みぞおち目掛けて突っ込んできたのだ。

「がはっ……!」

シューズは深く突き刺さり、胃が行き場を失って潰れる。胃酸が逆流し、たまらず唾液をこぼした。
乾いた咳を何度か繰り返し、肩を上下させた。爪先を奥へぐりぐりとねじ込まれる度に下腹部が熱く痺れ、歯の隙間から小さな呻きが流れ出る。
毛利は手加減をしなかった。腹を踏み指を噛み、首を両手で絞めた。端から見れば酷い仕打ちだ。生傷は増えるし徐々に動きにも制限がかかる。越知の体はみるみる内に憔悴していった。……ただ一点を除いて。


「何や……また勃ってきとるやん」

細く鋭い鳶色の瞳は、赤く突き上げる肉棒をねっとりと撫で回した。一度の吐精では飽き足らず、ぬらぬらと蜜を纏って重力に逆らう。
ゴッ!鉛をぶつけたように鈍い音が全身に伝わった。踵が腹部にめり込む。何度目かの叫びが倉庫内に反響した。
きっと、内臓はかなりのダメージを負っているだろう。中央、脇、下部、様々なところがキリキリと痛んだ。

「っく、ぅぐ……ぁ」

越知の自身が青筋を浮かび上がらせる。鮮明なピンク色は少しグロテスクかもしれない。
そのピンクを目に入れると、毛利は怪訝そうに眉をしかめた。

「性感帯触っとらへんのですけど?」

木刀で鎖骨の下をえぐった。骨と木が接触し手元にゴリゴリと固い振動が伝わる。

「月光さん、痛いん好き?」

身をよじり頭を左右にフルフルと前髪をなびかせた。

「っ……ちがっ……!」

「違うことあらへんやろ。またギンギンになっとるやんか、見えとらんの?」

何度か強く内腿を蹴りつけると、荒い靴底は皮膚を巻き込む。

「っあ゙!……ぐ!」

「イッてもすぐかとうなるなあ、月光さん」

雪のように薄く繊細な越知の肌は、刺激を受けてすぐに紅く滲んだ。
汗で銀髪が頬に張り付く。胸の奥から雄の先にかけて、僅かなくすぐったさと気持ちよさを感じた。腿と鎖骨に感じる痛みが体の中に快楽として入っていくようだった。違和感とも心地よさとも取れぬ感覚は段々と大きくなり、やがて後ろの穴をひくつかせるが、毛利はそれを見逃さない。

「何や月光さん、欲しいんすか?」

足首を力任せに掴んだ。尻の割れ目がよく見えるよう、臀部を浮かせて腹の方へ折り畳むように傾けた。……羞恥心を煽るような体勢。赤黒い蕾がひくひくと収縮し、指など容易く飲み込んでしまうだろうと予測させる。

「何が欲しいっすか?」

骨盤を砕きそうな勢いで足を開かせる。地に後頭部をべたりと寝かせた越知は答える様子も抵抗する気力も見せない。

「…………く……はぁ……ぁ……」

「……答えーや!」

痺れを切らした毛利は、横たわる背中に一発強力な蹴りをお見舞いした。
刹那、がくんと越知の大きな体が揺れた。

「っーー!あ、ぁあ!」

一際甘く甲高い悲鳴が耳に突き刺さった。直後、腰が勝手に揺れ動き再び精を吐き出した。

「ん、くぁ……あぁ……」

「……マジか」

毛利は覚えず目を丸くした。
勢いよく飛んだそれは、体勢が影響してか、越知自身の顔にべっとりと付着した。頬、目元、顎、ヨーグルト状の粘液は体温を吸い込み、くっついて離れそうにない。
掴まえた足首はなおもピクピクと震えている。持ち上げたまま、無様な白い顔を覗き込んだ。

「……月光さん、俺どこも愛撫してへんし、薬も盛ってへんし、ハイペースでこんななるような開発とかしとらんのですけど」

木刀を握り直し、尻の肉を鷲掴みにした。先走りから体液を絡め取り、大雑把に蕾へ塗りたくる。

「あと、痛みだけでイクとか、普通にドン引きですわ。自覚あらへんのすか」

木刀の先を尻穴に突き立てた。漆塗りの欅は気味の悪い光沢を放ちながら、ゆっくりと粘膜の奥深くへ潜り込んでゆく。充分に潤滑されていない肉壁を無理に押しのけると、痛々しい悲鳴が短く飛んだ。
引き締まった腹筋が浮き上がる。首筋に汗を垂らし、脚をびくんびくんともがかせた。

「……あ、いた、……っく、う」

「力入れると、余計入りづらなりまっせ」

体温よりも冷たく固い異物に貫かれ、越知は息をつまらせる。いきんでしまうたび、蹴られた腹の辺りが鈍く痛んだ。
もう十数センチは咥え込んでしまっただろうか。鋭い先端で中を引っ掻かれ、大粒の涙をこぼした。やたらめったらとはいわずに、前立腺を探してその付近をまさぐられた。

「この辺やろ……」

シチューをお玉でかき混ぜるかの様に軽々と手元を回しながらゴリゴリと中を擦れば、接触に合わせて締め付けが強くなる。殆ど痛いだけの筈だが、またもや陰茎はムクムクと起き上がり始めた。

「う……ぁあ、っく……」

「あんたどんだけ虐められるん好きなんすか」

しつこく前立腺に木刀を擦り付ける。湿り気が無いためか、些かコントロールが効きにくく、色んな場所を引っ掻いてしまった。ふと男の顔を見やると、四肢を痙攣させ歯をカチカチ鳴らしている。抵抗する気力はやはり無いようだ。焦点の合っていない目をゆっくり瞬きさせ体をだらんと横たえている。

「……あ、ぁあっ……く、ん……」

「……ほんまもんの変態や」

毛利は静かに目を伏せた。
滑らかな尻にそっと触れる。内壁を引き裂く勢いでぐちゃぐちゃと回した。

「ぁ、……かはっ……ぅん……!」

激痛が走ったのか、頭を激しく揺さぶっている。髪を振り乱すと汗が散った。
顔には己の精液がべっとり、両腕は頭上で拘束、腹には無数の傷痕、竿は真上を向いていて、尻には太い木刀が一本刺さっている。何と卑猥な体だろう。おまけに意思は薄れて目も霞んでいるらしい。スタミナの無さが災いしたのだろうか。

「く、ぁあ……、いっ、ん……!」

絶えず刺激を受けて、越知はこれでもかとよがった。嫌というほど身を引きつらせ、頬に滴をこぼし、また快感の頂点を迎えた。精液がピューッと噴出する。下半身の震えがより酷くなった。

「……い、ぃあ!も……、とめっ……!っあ!」

絶頂しても毛利の手は止まらなかった。途切れ途切れに止めてと聞こえるが、反対にどんどん突き上げる力と速度が増してゆく。また勃起するのを待つかのように、しつこくピストンさせた。
頭では拒絶しているようだが、越知の体は完全に性欲に溺れていた。それを知ってか、あえて毛利は中を掘り続けた。制止の言葉も嫌がる態度も無視して、ゲームで遊ぶかのように面白がった。

「や、めっ……、じゅさぶ、ろ……!もれる……!」

「めっさエロいっすね、月光さん」

越知の言葉など聞く気が無い毛利は、ずけずけと茶色い棒を挿し込みながら呟いた。
このまま穴の中をいじくっていたら、間隔をあけずにすぐ射精するのだろう。引いては押し、引いては押し、痛がってよがる様子をじっと見ていた。
痛みと絶頂の繰り返しが、体力のない越知に相当堪えたのか、汗ばんだ体がビクビクと小刻みに震える。青い瞳は徐々に移動し、やがて白目になり損なったように上を向いてしまった。
この状態では最早マグロだ。自主的に腰を揺らし、背筋を縮めた。

「ぁ……あ、ぁあ、あっ……ぁ!」

女にも劣らぬ声量で喘ぎ出すと、急に足をバタつかせた。その直後にプシュッ、と、白い噴水が飛び出した。半勃ちでの射精はとてもあっけなく、量も少なかった。
疲労が限界に達したのか、快楽を迎えた後から越知は言葉を発しなくなった。腰を断続的に痙攣させるばかりで、うんともすんとも言わない。体液が狭い範囲に飛び散った。

「月光さーん」

「………………」

毛利が呼び掛けるが、返事はなかった。不思議に思って、その顔を覗き込んだ。

「……あー、気ぃ失ってもうとるやん」

虚ろに開いた口と、上を向ききって焦点のボヤけた瞳が、それを示していた。べとべとに濡れた髪は至る所に張り付き、唾液がとろとろと流れ続ける。それは少量ながら、地面に銀の水溜まりを作った。
体力の無さに呆れはしたが、とりあえず木刀を引っこ抜いてやった。奥深くまで咥え込んで締め付けていたから一苦労だったが、それでもやっとの事で抜き取ると、細長い足がぐったりと崩れ落ちた。そして、緊張感が無くなって筋肉が緩んだのか、温かな液体を性器から大量に垂れ流し始める。
越知は失禁していた。
淡いレモン色のそれは、股間を中心に瞬く間に広がり行く。それはもう出るわ出るわ、ジャージに染みを作り太ももを浸し、更には毛利の足元へも寄ってくる。

「うわー、この年でお漏らしっすか」

ひょいと排泄物をかわした毛利は、ポケットに手を突っ込んだ。オレンジ色のスマートフォンを持つと、カメラを起動させる。

「丁度ええさかい、記念写真撮っときますよ」

画面に越知の全身を納めると、カメラボタンを長押しした。パシャパシャパシャとシャッター音が連続する。あらゆる角度から連写すると、全てを専用のフォルダへ入れて保存した。

「失禁に顔射に気絶、口は笑とらんけどアへ顔、……月光さんもようやらはるなあ」

端末の操作を終えると元の場所へスマホを入れた。

「せやけど、流石にこのままはマズイやろ」

首をかしげた毛利は、倉庫内をキョロキョロと見回した。使われていないランニングマシーンの手すりに、ボロボロのタオルが干されている。
何も言わずその灰色の布を掴むと、越知の腰元にしゃがんだ。大きなタオルを、レモン色の液体が広がった範囲に被せた。温かな排泄物がカラカラに乾いた繊維に染み込む。

「失禁したままやと臭い酷なりますからね……」

何だか介護してる気分だと、呑気に手を動かした。やがてタオルがびしょ濡れになると、外に誰もいない事を確認して生ゴミへ棄てた。
粗方は拭き取ってやったが、ジャージのズボンに侵食した液体は無論取り除くことが出来なかった。ため息をついた毛利は、あらかじめ仕込んでおいた越知の特注ジャージと下着の代えをチェストプレスマシーンの隙間から取り上げた。
着衣を正し、体勢を戻し、おまけに瞼を閉ざしてやってから、枕元のあたりにちょこんと座った。起きる気配は一向に無い。

「……月光さん」

未だにじんわりと発汗し続ける白い手を握った。

「俺ら、もうあきませんわ」

細長く力のない指を、そっと己の股間へ近付けた。
越知の手に、ズボンのゴム紐部分を握らせる。太ももの辺りまでずり下ろすと、猛った雄が重なった下着の白い染みを突き上げているのが見えていた。

「月光さんの事ドマゾや罵ったくせに、俺なんか、月光さんが痛がる姿だけで3回も達してしもた」

うつ向き、自分のそれと目を合わせた。

「そんで今もイキかけとる。……こんなん俺の方がヤバいわ」

力のない大きな手のひらを、そっと己の陰茎へ被せた。途端に下半身が疼き、温かな皮膚へ白濁を発射してしまう。ヒクヒクと身震いすると、一つため息をついた。

「もうきっと……元には戻れへんっすね。……あんたも、俺も。」

薄暗い笑みを作った。精液が付着するのも構わず固く手を握った。
おもむろに顔を近づける。
唇を重ね、瞼を閉じた。
越知の瞳は、まだ開かない。



continue……




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