【屋上】
放課後。私は何となく屋上に来ている。
昼食の時の出来事が、頭から離れない。
「赤鬼ぃぃ!!」
「キャー! な、何!?」
ぼーっとしてたら、いきなり扉が開いて吃驚した…。
慌てて扉を見ると、そこには椀野君の姿。
「椀野君、どうしたの?」
「ん? 松原じゃん。なぁ、赤鬼見なかったか?」
「赤鬼…?」
赤鬼って誰なんだろう。赤鬼が誰か判らないから、私は首を横に振る。それに、屋上には誰も来てないし。
「何処に行ったんだろ、赤鬼」
「ねぇ椀野君。赤鬼って誰?」
私の質問に、椀野君は固まった。私、また何かおかしなこと訊いたのかな?
「そっか。松原は違うんだ。ゴメン。今の忘れてくれ」
椀野君は颯爽と屋上から出て行こうとする。私はさっきの言葉が気になって、椀野君を引き止めた。
「椀野君! それってどういう意味!?」
「…知らない方が幸せな時もあるってこと」
じゃあね、と椀野君は出て行った。残された私は、ただ呆然とするしかない。
「裏葉君の気持ちも、そうなの?」
屋上に響く、彼が残した気になる言葉。
to be continued...
2008.03.06 掲載