※高2設定で男主です




本日、俺はSB作戦を決行する。
SB作戦とは、冴子バースデー作戦の略称だ(単純って言うな!)
愛しの冴子先輩を喜ばせる為、俺は彼女に何をプレゼントしようか悩んでいたが、様々な人々の協力(主に救護クラブメンバー)により、有力情報を入手した。
フフフ、これで冴子先輩のハートは俺のもの!

「アンタ、何やってるの?」
「!? さ、冴子先輩っ」

いつの間にか俺の後ろに冴子先輩が!
ヤバい。ドキドキしてきた…。
俺は、必死に今まで考えた言葉を頭で何度も繰り返す。
大丈夫。大丈夫だ。
何度も鹿野相手に練習したじゃないか!
深呼吸、深呼吸。

「春休みに学校だなんて、普段不真面目な梶原らしくないわね」
「冴子先輩、酷ッ。俺、冴子先輩に逢うために学校に来てるんですよ!」
「やっぱり不真面目じゃないの。しっかり勉強しなさいよ」

あぁ、冴子先輩が溜め息吐いちゃった……。
いや、落ち込んでいる場合じゃない。
あの言葉を、俺は言うんだ……!

「冴子先輩!」
「何?」
「俺と……布団にダイブしてください!!」

……あれ?
先輩が急に黙り込んだ。
俺、何か間違った?
でも、確かに一言一句正確に言ったと思うけど…?

恐る恐る、冴子先輩に訊ねる。

「冴子先輩、どうしたんですか?」
「……梶原、何でそう言うの?」
「え、だって鹿野が『冴子は布団にダイブするのが趣味だから、一緒にダイブしてやれ』って…」
「鹿ー野ー……! アイツ、後で跳び蹴り決定ね!!」

何か、黒いオーラが背中に漂ってる……!?
あれは明らかに怒ってるよな?
どうしよう。せっかくの誕生日なのに……。
あ、ヤベっ。涙が出てきた……。

「梶原、他の人にそんな事言っちゃダメよ」
「え?」
「絶対誤解を招くから」

もしかして、俺の誕生日プレゼントは無駄になったのか?
先輩は怒らせるし、俺ってバカだ。
悔しい……悔しいよ……!

「でも、梶原は私の為に言ってくれたんでしょ? ありがとう」

先輩は綺麗な顔で微笑んでくれた。
今まで流れていた涙はすぐに止まった。

「一緒に布団にダイブするのは出来ないけど、映画に付き合ってくれる? 今日から観たい映画が上映するのよ」
「冴子先輩……はい! 喜んでっ」

俺をフォローしてくれた冴子先輩、やっぱり大好きだ!


俺は冴子先輩と一緒に映画を観に行った。
冴子先輩はホラー映画が苦手と知り、可愛く思えた。




「あれ、尚輝と究悟、何話してんの?」
「あ、鹿野部長!」
「よっ、鹿野。今な、俺と冴子先輩の馴れ初め話を──」
「誰と誰の馴れ初め話だって?」
「!? 冴子せんぱーい!」
「コラ尚輝、抱き付かない!」

抱き付いてきた尚輝を離すと、冴子は究悟に訂正した。

「さっきの話、かなり脚色されてるから信じちゃダメよ」
「冴子先輩、照れないでくださいよ。全部事実じゃないですか」
「違う!」

尚輝の耳を引っ張りつつ、冴子は部室から退室した。
一連を見ていた究悟と鹿野は、一言も発せなかった。

残された究悟は、同じく残された鹿野に問い掛ける。

「鹿野部長、さっき梶原先輩から話を聞いたんですけど、全部本当なんですか?」
「事実だ。あんな経緯でよく付き合ってるよな」
「……部長」
「何だ?」

究悟は冷たい視線を鹿野に送った。

「あんな事言うなんて、酷いじゃないですか! 梶原先輩は必死に冴子さんの為に言葉を考えてたのにっ」
「だって、尚輝の奴なかなか告らねぇから、つい」
「ついって……」
「結局、付き合えたんだし良いんじゃないか?」

アハハと高笑いをする鹿野を見て、究悟は溜め息を吐いた。
しかし、鹿野の言うとおり確かに二人は付き合い始めた。
結果のみを考えると、尚輝の作戦は成功したのだ。

「究悟、大事なのは過程じゃなくてこれからの未来なんだ。だからそんな目で俺を見ないでくれ〜!」

鹿野はギュッと究悟にしがみつく。
究悟は半ば呆れながらも、鹿野の言葉が心に響いていた。




「冴子先輩、すみませんでした!」
「解ればよろしい。で、どうして究悟に話してたの?」
「俺がどうやって冴子先輩と付き合うようになったのか知りたいって言うから……」
「まぁいいわ。尚輝、明日は休みだから出掛けるわよ」
「はい!」

踵を返し部室に戻る冴子の後ろに尚輝は付いていたが、やがて二人は隣に並んだ。




大好きな貴女へこの言葉を──




Happy birthday to Saeko!
2009.04.04




春休みが明け、救護クラブは全員部室に集まった。
ミーティングが終了後、冴子は鹿野を呼び止めた。

「鹿野、ちょっといいかしら」
「ん? 何d──」

ガツッ!!

「ふん、お返しよ」
「さ、冴子…痛い。感謝はされても仇を討たれる覚えはないぞ!」
「何が布団にダイブよ! 私は寝るのが好きなだけよ!!」

もう一度跳び蹴りをしそうな勢いなので、鹿野は素直に謝った。

「す、すみません…」




*fin*




冴姉お誕生日おめでとう! やはり男主はヘタレになります(←)ここで補足説明を。前半は究悟が入学する寸前の春休み中の話です。主人公視点になってます。そして後半は現在です。第三者視点で書いてます。一応夏休み前の設定です。全く関係ないですが(笑)布団にダイブのネタは、1巻に書かれている冴姉のプロフィールより戴きました(笑)あと、冴姉は映画館が大好きです。

2009.04.04 掲載
2010.04.06 修正

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