「ひっばりさーん!」
「…………」

遥は、いつもこうやって笑顔で僕に近付いてくる。
今日も相変わらずへらっと笑いながら近付いてきた。
……僕が怖くないの?

「今日はこどもの日ですねー」
「……何が言いたいんだい?」
「うふふ、今日はこどもっぽい雲雀さんにぴったりな日だなーって思っただけってちょやめて! トンファー振り回すのなし!! あたしが悪かったからってまだ振り回すのかこのやろーってマジすんませんじゃなかったすみませんごめんなさい土下座しますからトンファーで頭殴るのやめて! そーゆーのは草壁さん担当だから!!」

トンファーを構えた瞬間、遥は殆ど息継ぎをしないまま長々と喋った。
僕は別に遥を殴ろうと思ってトンファーを構えた訳じゃない(弱い者に興味はないし)
僕がトンファーを構えただけで慌てて弁明する遥をただ見たいから、本当にそれだけだ。
だけど、僕以外の男の名前が出たのは気に食わないな。
ちょっと脅かしてみようか。

「よく喋るね。まずはそのよく喋る口から黙らせるよ」
「口以外は喋りませんってマジでトンファー!? あたし死んじゃいますから!」

慌てる遥は本当に可愛い。
僕が遥を咬み殺すなんてこと絶対に有り得ないのに。
ああ、なんて愛おしい存在だろうか。

僕は群れるのは嫌いだ。
だが、遥といるのは寧ろ愛しい時間だ。
だから、今日は遥をもっと慌てさせよう。

「死んじゃったらどうす──ッ!?」
「…………」

僕が遥を黙らせた瞬間、遥は瞳を丸くした。
ほら、遥はやっぱり可愛い表情をした。

「ひ、ひば、り、さ、ん……」

未だ目と鼻の先にある遥の頬は、うっすら赤くなっている。
ああ、まだ離れたくない。

「今日が何の日か、遥も知ってるんだろう?」
「…………」

僕の問いに、遥は小さく頷いた。
その仕草もまた可愛い。
今日ぐらいは、こんな遥の近くにいてもいいだろう?
普段隣にいることが出来ないならば、誕生日である今日ぐらい──

「誕生日プレゼント、貰っとくよ」
「──ッ! ひ、ひばりさんのバカ!!」
「ふーん。まだ喋るんだ」
「や、ヤバい!? 逃げな──ッ!!」

例え逃げようとしても逃がさないよ。

目の前にいる遥の顎を捕まえ、僕はもう一度貪るようなキスをした。
今日だけは誰にも邪魔をさせないよ。




He kissed his dearest girl!
(彼は愛する少女にキスをした)




「ご馳走さま」
「ひ、ひばりさんんんん!!」
「そんなに怒っても可愛いだけだよ」
「か、可愛い!?」




*fin*




雲雀さんのBD小説…?(←)キャラ崩壊ごめんなさい。たまには雲雀さんにデレて欲しかったんです。

2010.05.05 掲載


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