「ラブくん、ハーブティー煎れてみたの。飲んでみてくれる?」
「うん、いいよ」

教会の庭園で、ラブラドールと遥は静かなひとときを過ごしていた。
周りにはラブラドールが育てた草花が広がっている。
遥は風の音を瞼を閉じて聞き入る。
とても心地良い風が、二人を包み込んだ。

「遥さん」
「あ、ごめんなさい」
「いいよ。風、気持ちいいからね」
「……うん!」

遥はニコッと笑う。
ラブラドールもつられて笑った。

「遥さん、その気持ちを大事にしてね。きっと彼らが遥さんの味方をしてくれるから」
「ふふふ、ラブくんに言われるとそんな気がするなぁ」

遥が自分のカップにハーブティーを注いでいると、遠くから叫び声が聞こえてきた。
この声は、最近教会に来た少年のものだろう。

「テイトくん、元気だね」
「色々あったけど、テイトくんは強い子だから」

ふんわりと笑うラブラドールに、遥は首を傾げる。
その様子にまた笑って、ラブラドールはハーブティーを啜った。

「……まぁ何があったのかは訊かないことにする」
「ありがとう、遥さん」

「こンのエロ司教ー!!」
「ハーッハッハッハ!」

「……本当に元気だね」
「ね〜」

ラブラドールと遥の目の前を、テイトがフラウを追い掛ける形で走り去る。
遥は呆れた表情でそれを眺めるが、ラブラドールは微笑ましく見ている。
と、そこでテイトが庭園にいる二人に気付いたらしく、フラウを諦めて此方にやって来た。

「ラブラドールさん、遥さん、何してるんだ?」
「遥さんがハーブティーを煎れてくれたんだよ」
「テイトくんも飲んでみる?」
「わー飲む飲む!」

遥がカップにハーブティーを注ぐ間に、フラウがふらふらしながらやって来た。

「あ、フラウ!」
「よぉ……美味そうな匂いがする」
「お前はふらふらだな」
「……人形オタクにやられた」
「オレをイジメた罰だ」
「チッ」
「あー!! オレのハーブティーっ」

テイトのカップを横取り、フラウがハーブティーを一気飲みした。
フラウにザイフォンを当てようとするテイトに、遥は慌てて別のカップにハーブティーを注いで与えた。

「テイトくん、まだあるから大丈夫だよ」
「遥さんごめんなさい!」
「ううん、構わないよ。私のハーブティーを気に入ってくれるならいいけど」
「勿論気に入るに決まってんじゃん!! 遥さんが煎れてくれるお茶は全部美味しいもん」
「嬉しいなぁ……。ありがとう」

遥が微笑むと、テイトは顔を真っ赤にした。
それを見ていたフラウがテイトを弄り始める。
二人がマシンガントークを繰り始めたので遥はホッと一息吐いた。
すると、ラブラドールが遥の目の前に一つ、カップを置いた。
遥は首を傾げてラブラドールに答えを求める。
ラブラドールは微笑した。

「遥さんはお疲れみたいだから、ボク特製のハーブティーだよ」
「ラブくん……」

「というわけだマセガキ。諦めろ」
「…………」

いつの間にか、テイトとフラウは喧嘩を止めてラブラドールと遥を見ていた。
それに気付いて遥は顔を真っ赤にして照れる。
ラブラドールは肯定も否定もせず、遥のハーブティーを啜っていた。




一息吐いたら
(貴方の優しさが待ってました)




*fin*




もうむしろ逆ハーと言っていいぐらいテイトとフラウが出張ってしまいました。反省します……。そして書いてて一番気になったのは、カップの多さです(笑)一体いくつあるんだ……(←)

2009.12.30 掲載
2010.04.06 修正

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