※トリップ設定




「Trick or treat!!」

あたしが『07-GHOST』の世界に来て一週間が経った。
今ではすっかり教会のみんなと仲良くなれて、お仕事も色々手伝えるようになってきた。
そんなあたしは、フラウに向かってあの言葉を言ってみた。
あたしの世界では十月末日に言うあれだ。
でも、今すごく後悔してる。
なんでフラウに言っちゃったの、自分!?

「確か、何も持ってねぇならオレがイタズラしていいんだよな?」
「違う! あたしがイタズラするの!! フラウがイタズラしてどうすんのよっ」

そんなこんなで只今フラウと鬼ごっこ中!!
フラウにイタズラされる=貞操の危機という方程式は間違ってないよね……?
だから誰か助けてっ。

あ、あれは……

「カストルさぁぁん!」

ラブくんと一緒に子どもたちと遊んでいるカストルさんを発見!
是非とも助けてもらわなければ!!

「おや、遥さん」
「遥さん、今日も元気だね〜」

ラブくん、そんなのほほんと言わないで!
あたしは今、貞操の危機なんだからっ。

「カストルさんっ、助けて!!」
「後ろにいるのはフラウですか。あなた方は本当に面倒ばかりですね」
「み、見捨てないで……」

走り疲れたのとフラウが怖いのが混ざって涙が出てきた。
これでカストルさんに見捨てられたらマジ泣きしちゃうよ…!!
そう思っていたら、何かがフワッと頭に乗った。
これはカストルさんの手?

「……カストルさん?」
「よくここまで逃げ抜きましたね。そんな貴女に免じて、フラウから助けましょう」
「ほ、本当に?」
「勿論です。私が嘘を吐いたことがありますか?」
「ない!!」

助けてもらえるのが嬉しくて笑ったら、カストルさんはあたしの頭を撫でてくれた。
カストルさんって本当に優しい!!

「遥さんは危険ですので、ラブラドールや子どもたちと向こうで遊んでいてくださいね」
「うん!」

あたしはラブくんや子どもたちとその場を離れた。
それからフラウがどうなったかは知らないけど、夕食の時には左頬に大きなガーゼを貼っていた。
カストルさん、ビンタとかしたのかなぁ?
でも夕食の後にフラウが「もうイタズラはしません」って言ってくれたから、やっぱりカストルさんは恰好良い!!
またフラウから襲われそうになったら助けてくれるかな?

「……」

どうしよう。
あたし、カストルさんに恋したかも。




遥がラブラドールとその場を去った後、近くの建物の影からフラウが姿を現した。
フラウにカストルはニコッと微笑む。

「フラウ、お疲れ様でした。なかなかの演技でしたよ」
「だろ? だからオレのエロ本返せ」
「フラウは私が素直に返すと思ってるんですか?」
「……思ってねぇけど、てめーばっかり得してんじゃねーか!」

フラウが叫んだ刹那、フラウの左頬にカストルの人形の回し蹴りが思いっきり当たった。
フラウは抵抗虚しく吹っ飛んでいく。

「ぐはっ!? 何しやがるっ」
「遥さんを必要以上に怖がらせた罰です。泣いていたんですよ、彼女。泣き顔は可愛いんですが、目が真っ赤になってしまいます。またラブラドールに何か処方してもらわないと」
「理不尽だー!!」
「そんなこと知りません」

カストルは踵を返してその場を去ろうとする。
それをフラウは止めようとするが、「もう休んだらどうですか?」

ニコリと笑顔で微笑まれて、フラウは思わず固まってしまった。
しかし、負けじと発言する。

「遥がイタズラを仕掛けてきたらイタズラするふりをして、てめーの所に行くようにちゃんと仕掛けたじゃねーか!!」
「仕掛けましたねぇ」
「しかも遥はまんまと作戦に嵌っててめーの好感度は上がっただろ!?」
「えぇ、見事に成功しました」
「じゃあ何でオレだけやられ損なんだ!? ちゃんと説明しろっ」
 
喧嘩腰のフラウに、カストルはもう一度人形で回し蹴りを喰らわせた。
その後、誰も言葉を発しなかった。
否、フラウの場合は発せなかったのだが。




Happy Halloween!!
(イタズラはほどほどに)




*fin*




なんとかして更新しなきゃと思って急遽書き上げました。せっかくのハロウィンなので、ちょっとだけネタにしました。結局無意味になりましたが(泣)七霊が書けて楽しかったです。ついでにトリップネタが書けてもっと楽しかったですvv(←)全然活かされなかったんですけどね…。

2009.10.31 掲載
2010.04.06 修正

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