小説 | ナノ
どうどうめぐり
「謙也くんは？どんな子がタイプなの？」
「せやなあー…具体的には、」
「うん」
「胸のでかい子」
ああ、こらあかん。と思いました。（だって私は寄せて上げてやっとＢカップしかない）
「…アキちゃんやん」
「は？花村？」
「うちのクラスで一番胸でっかいの、アキちゃんやもん」
「ほー」
「ほー、て…。ふーん、謙也くんてアキちゃんがすきやったんやー。初耳」
「ちょい待ち、別に花村がすきやとは言うとらんやろ。早とちりすなアホ！」
「アホってなに！好きなタイプにどんぴしゃやんか」
「タイプと実際は違うやろ！それにあいつはあかんねん」
「なんで？」
「見たらわかるやろ。白石が花村にベタ惚れなん」
「浪速のスピードスターは戦わずして逃げるんか」
「アホ！逃げるんとちゃうわ。大体俺には、」
「すきなやつ、おるっちゅー話や！」
…ああ、もうこれは致命的や。と思いました。
「名字は？どんなタイプがすきなん」
「うーん、せやなー…具体的には、」
「おう」
「俗に言うイケメン」
ああ、こらあかん。と思いました。（だって俺はいまだかつてイケメンなどと呼ばれたことがない）
「…白石やん」
「え？白石くん？」
「クラスどころか学校でも公認やろ。まあたまに残念なとこもあるけど。そこがええっちゅう女子多いで」
「へー」
「へー、て…。そか名字おまえ、白石がすきやったんか。初耳やな」
「別に白石くんがすきやなんて言うとらんやん。解釈までスピスタとかなんなん！」
「妙に訳すなや！せやかてタイプとどんぴしゃやんか」
「タイプと実際はちゃうやんか。それに白石くんはあかん」
「なんでや？」
「見たらわかるやん。アキちゃん、白石くん大好きやもん」
「ほんまに好きなら奪ってしもたらええやんか」
「！？そ、そんなんできるわけないやんか！大体うち、」
「ちゃんとすきなひと、別におるもん！」
…ああ、もうこれは致命的や。と思いました。
「あの二人、はよくっつかへんかなあ」