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▼初デート三日前


「焦凍、今週の日曜空いてるか?」

「?はい」

「よし!じゃあデートしようぜ、デート」

「………えっ」

「えっ」


そんな会話を朔也さんとしたのが昨日。今日は木曜日だからデートまであと三日だ。


「…そんなわけで緑谷、俺は何を着ていけばいい?」

「…なんでそれを僕に聞くの?」

「緑谷は朔也さんと幼馴染だろ。あの人の好みとかそういうの教えてくれ」

「多分朔也くんのことだから轟君がどんなにダサい恰好していってもかわいいって言うと思うよ」


緑谷はそう言って遠い目をしていた。
緑谷はなんでもいいと言ったがやっぱり初めてのデートなのだからそれなりの服を着ていきたい。普段適当な服しか着てないことを今更ながら後悔した。


「あと、服装のことなら僕よりかっちゃんの方がいいんじゃないかな。僕もあまり服に気を遣う方じゃないから…」

「そうか、ありがとな緑谷。……爆豪、」

「話しかけんな」


俺と緑谷が会話をしていたのは緑谷の席。その前の席にいた爆豪は必然と話を聞いていただろうと思い、目線を前に移した。思いっきり睨まれたが。


「……爆豪」

「………」

「………」

「……視線がうるせぇ!!」

「?悪ぃ」

「そもそもあの面食いのことだ、テメェが何着ていったって気にしねぇよ!」

「緑谷と同じこと言うんだな」

「デクともども殺すぞ」

「すごいとばっちりだよかっちゃん!」


結局幼馴染二人の結論からして、朔也さんは俺がどんな服を着てこようが気にしないということだった。
本当になんでもいいのだろうかとは思うが、自分では服装の良し悪しはわからねぇし俺は二人の言うことを信じることにした。…そういえば朔也さんはどんな格好をしてくるのだろう。今まで朔也さんと会うのは学校でだけだったから、見たことあるのは当然制服姿だけ。


「…なあ、朔也さんの私服ってどんな感じだ?」

「腹立つ」

「(かっちゃん即答…)」

「?」

「あのね、轟君。朔也くんもともと顔がいいし、さらにセンスもいいから私服めちゃくちゃかっこいいよ。で、かっちゃんはその事実を認めたくないだけだよ」

「かっこいいとか思ってねぇわ!!」

「痛い!!」


緑谷と爆豪が危うく取っ組み合いになりそうだったから、お礼を言いつつ間に入った。
…そうか、朔也さんの私服姿かっこいいのか。まあ普段からかっこいいけど。まだ見ぬあの人の私服姿を想像して、日曜のデートがより一層楽しみになった。


「……朔也さんがそんなにかっこいいのに俺は適当な服でほんとにいいのか?」

「振り出しに戻んな!!」