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「雪が積もってる…。道理で寒いわけだ」


その寒い中、並中の制服を着て更にコートとマフラーを身に付けている俺。勿論ヒバリに呼び出されて学校に向かう最中だ。最近は休日も学校に行くことが多くなり、せっかくの日曜なのにという文句は最早口に出さなくなった。


「お、黒瀬じゃねーか」

「あ?…ってディーノさん!?」


後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには眩しい笑顔を浮かべて片手を挙げているディーノさんが居た。


「朝から美人と出会えるなんて今日の俺はついてるなァ。呼び出されてなきゃこのままお茶にでも誘うのに…」

「ナチュラルに口説いてくるなお前…」

「ディーノさんは顔が良いから好きなんですよ。それよりもどこに行くんです?」

「ん?ああ…今から並中に行くんだ」

「え」


ってことは学校に着くまでディーノさんの顔を見ていられるということだ。今日の俺マジでついてる!心の中でガッツポーズを決めていると隣から鈍い音が聞こえてきた。


「……大丈夫ですかディーノさん?」

「痛ってー…。なんか今日はよく転ぶんだよな、雪の所為か?」

「嗚呼…まあ、そうなんじゃないですか?」


適当な返事をして、そう言えば今日は彼の部下が居ないなと思い出す。学校に着くまでにせめてディーノさんの綺麗な顔だけは守らねば。


***


「遅せーぞ!跳ね馬!…って何でてめぇまでいんだよ黒瀬!」

「お、悠斗も一緒に遊ぶのか?」

「おお、確かお前はヒバリとよく一緒にいる奴だな!極限にボクシングをやらんか!?」


何度も転びそうになるディーノさんをフォローしつつ学校まで辿り着くと、校庭には獄寺、山本、三年の笹川先輩が居た。


「うんうん、見事に美形ばっかりだな。朝からいい目の保養だ」

「あいつらの言葉を全てスルーしてその言葉とは…流石だな」

「感心してんじゃねーよ跳ね馬。……って、あ!10代目!こっちッス!」


獄寺の視線の先には沢田、リボーン、ランボ、イーピン、そして将来有望そうな顔をした少年が居た。


「あれー!?みんな何やってんのー!?」

「お前らを待ってたんだぜ。俺達もたまにはチビ達と遊んでやろーと思ってな」


どうやらディーノさんたちは沢田がいつも子供たちの面倒を見ているので、その手伝いをしようとここに集まったようだ。獄寺の提案で雪合戦をする流れになっているが、肝心な沢田は余り乗り気ではなさそうだ。大変だな、沢田も。


「で、盛り上がってるとこ悪いが俺は参加しないぞ?」

「そーいえば用があるって言ってたな」


ディーノさんの言葉に頷く。美形に囲まれてテンションが上がっていたが、そもそも俺が態々日曜に学校に来たのはヒバリに呼ばれたからだ。これ以上あいつを待たせたら咬み殺されてしまう。


「雪合戦も楽しそうだが、俺にも予定があるからな」

「そっか、黒瀬君行っちゃうんだ…(面食いってことを除けばこの中では常識人な方なのに…)」

「じゃあまた今度遊ぼーぜ」

「おう。……余り騒がしくしないようにな?」


沢田たちと別れて校舎に入ると、廊下でヒバリと鉢合わせた。


「遅いよ、悠斗」

「悪かったって。それよりもどこに行くんだ?」

「息抜きに群れてる奴らに雪玉でもぶつけてこようかと思って」

「随分一方的な雪合戦だな!?」

「僕が戻って来るまでに遅れてきた分の仕事くらいは終わらせておいてね」


ヒバリは学ランを靡かせて颯爽と行ってしまった。沢田達、見つからないといいけどな。
その後、結局ヒバリは仕事が溜まっているのを理由に沢田達を咬み殺すのはやめて戻って来た。しかし直後に大きな爆発音。当然ヒバリの機嫌は最悪だ。
……あいつら並中で騒ぎ起こすの止めてくれねェかな。