「ロウ君見ない内にますます良い男になったわね〜」
「それを言うならダイヤちゃんも、可愛い顔は以前と同じだけども綺麗になってきたわー」
「「で、ロウ君/ダイヤちゃんはいつ息子/娘になってくれるかしら?」」
「ちょっ何言ってるんだよ!!!」
「あっじゃあ今すぐにでも」
「お前は黙ってろ!」
「ぐふぅっ!」
ダイヤの肘がロウの脇腹へと打ち込まれロウはそのまま固まった。
あっ何か今お花畑が見えた様な、と言っている辺り意識を持ってかれそうになったのか。
まあそんなことはどうでもよくって。
「どうでもよくないでしょ?女の子が暴力をしちゃダメよ?」
口に手を当てて、あらあらとダイヤの母親は注意をする。
こちらはニヨニヨと笑いながら見守っていたロウの母親が
「ふふ、まあいいじゃないの。仲が良いって良いことだわ」
と益々嬉しげに笑っていた。
二人とも先程の時とは随分雰囲気が違う。
アルジャノンが去ってから張り詰めていた空気は和らぎ、使用人から注がれたお茶を片手に談笑等で各々自由にし始めた。
ダイヤとロウも見計らって母親達の元へと駆け寄ったのだ。
母親達と話始めたそんな中サラとスペンドの両親が来て二人に頭を下げた。
娘と息子を宜しく頼む、と。
「お父様に頭が上がらなかったからかもしれないけど、ちゃんとサラちゃんとスペンド君の事が心配だったのね…まあ、当たり前よね。我が子の事をどうでも良いと思ってる親なんていないもの。会議で言ったとおり全て貴方達二人に任せるけど…」
「全部ボクたちが何とかする。本気でぶつかって向き合って、サラとスペンドを止めるよ」
「…そう」
本当に変わったと思う。
昔は人の目を気にして俯いていた娘、こんなに真っ直ぐ前を向いていなかった。
いろいろあったがこうして元気になってくれてとても嬉しくて思わず抱き締めた。
「自分の好きなようにしなさい。私はいつまでも貴方の味方よ」
「うん…じゃあ、親族会議も終わったしボク達もう家に帰るよ」
「あら?もう帰るの?今日は遅いし日を改めたら?それに久しぶりに帰ってきたのだから本邸にいらっしゃいな。お父さんにも会ってあげて」
「えっ?でも」
母親の思わぬ提案にダイヤがたじろいでいるとロウが声を掛けた。
「いいんじゃないか?チェシャ達にも数日間留守にするって言ってるんだ。ゆっくりしても良いと思うぞ。それにたまには本邸に顔を出さないとな」
「…そうだね。わかったそうする」
「じゃあ決まりだな。ダイヤが良ければ俺の家にも来てくれ。皆会いたがってると思うから」
じゃあまたなとロウはダイヤの頭をポンと撫でて、母親と共に帰っていった。
その後ろ姿を見つめていると自分の母親から手を引かれた。
「私達も行きましょ?…おかえりなさい、ダイヤ」
「ただいま、お母さん」
同時刻、某所。
廃墟のとある一室。
クスクスと笑う声に話し声。
「そういえばスペンちゃん、本家の方から呼び出しがあったの知ってるぅ?」
「ああ。まあシカトしたけどな。興味ねぇよあんな退屈な集まりなんざ」
「うふふっ。そうよねぇ。私も封筒破いて捨てちゃったわぁ。ところでカラーレスちゃんは?姿見えないけどぉ?」
「アイツなら何か調子が優れないつってどっか行っちまったぞ」
「ふぅん。あーあ早く次の色狩り行かないかしらぁ」
「物好きだよなお前」
「私は一番じゃなきゃ満足できないのぉ。私より勝る色なんて原色じゃない色でも存在するなんて気に入らないわぁ。ただそれだけ」
「フン…」
「それにしても退屈ぅ!早くカラーレスちゃん戻ってこないかしらぁ!」
そう吠えてソファーへと身体を投げ出した。
苦しい、辛い、寂しい。
誰か、誰か、誰か
私を
タスケテ…。