「…あ、そういや。お前らキャンディ見てねぇ?」


急に思い出したように顔だけを上げたチェシャにダイヤ達はチェシャの方を見るといいや、と首を振る。

そうかー…とまたチェシャは机に突っ伏す。

メアリーはツンツンとチェシャの頭をつつくが身動きひとつ取らない。

ちなみにロウは復活し、ダイヤの機嫌もなおっていた。

アリスだけは置いてきぼりで話が読めないといった顔をしていた。


「ねぇ。その"キャンディ" って?」

「キャンディはボク達の友達だよ。チェシャ…とビットから言ったら幼馴染みだっけ?」

「まあな」

「その人ってもしかして女の子かしら?」


怪しく目が光るアリスにダイヤとチェシャは固まる。
アリスのセンサーに掛かってしまったらしい。


(…ボク、アリスにキャンディを会わすのは危険だと思うんだけど)

(オレも同感。アリスが喜びそうなポイントが多いからな…でもなぁー)


アイコンタクトし合う二人にアリスはお構いなしに妄想全快でキャンディがどんな人物なのかを想像している。

話が脱線し始めたとメアリーはコホンと咳払いをひとつ。


「で?キャンディがどうしたん?」

「おう。そうだった。アイツ朝から森に木苺狩りに行くって言ってたんだけどよ、それから見てないんだよ…」

「え、今の今まで?」

「おう」

「もしかしてキャンディちゃん迷子なのか?」


チェシャの話に驚くダイヤに今まで黙っていたロウが疑問を口にする。

いやお前じゃあるまいし…と思ったのは誰だったろうか。

いつも道を覚えず迷う特殊能力があるロウはともかく、キャンディは幼い頃から森で育ったため土地勘はある。

だから迷子なんてあるはずはない。

徐々に心配になってきたダイヤは立ち上がると庭を囲っている柵の扉へと歩いていく。

そんな彼女の行動にロウは気づき同じく立ち上がる。


「ダイヤ。キャンディちゃんを探しに行くんだろ?俺も行くよ」

「うん。友達だからね。動かずにはいられないよ」

「そんなら、ウチも一緒に行くわ。アンタらにも迷われたらイカンし」

「私も行くっ!困っている子を見て見ぬ振りなんて出来ないわ!(あとどんな子か気になるし!)」


ロウに続きメアリー、アリスも立ち上がりダイヤに駆け寄ってくる。


(いつもは突っぱねてる癖に、こんな時は素直じゃねーか)


最後に立ち上がったチェシャは微笑む。

途中でアリスの心の声が聞こえた様な気がしたが雰囲気がぶち壊しになるので無視だ。


「それじゃあ行こう!」


ダイヤの家は町から離れた森寄りの場所にあるためここから森までは近い。

一行は森に向けて歩き出した。

「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -