「ごちそうさまでした!」
手を合わせ満足そうに言うアリスにダイヤは空いてるカップにお茶を注いでやる。
種類は勿論コーヒー。
余談だが初めダイヤにお茶は何が良いかと聞かれた際にアリスはうっかり紅茶と言ってしまいそれはもう彼女を怒らせた。
無理もない。
「紅茶をボクに頼むとか喧嘩を売ってるね!?良いよ!表に出ろやぁ!」
「怒ったダイヤちゃんも可愛いけど落ち着いて!!」
なんとか宥め理由を聞くと紅茶以外なら出す、自分は紅茶嫌いなのだとの事。
紅茶以外ならあるらしいのでアリスはせっかくだからベリー系のジュースを頼んだ、が今は切れているらしい。
「…まあ覚えとくよ」
次回用かダイヤはメモを取りそんなこんなで食事を始めたのだった。
ここまで毛嫌うには何かあったのだろうかと思わず口にしそうになったがアリスは飲み込んだ。
「そういえば」
「なあに?」
「お前元の世界に帰れるの?ゲート…ウサギの穴だっけ」
ピシリとアリスが固まったのをダイヤは見逃さなかった。
不思議そうにするダイヤにアリスは視線をそらしながら口ごもる。
「え〜と…実はね。ここに来る前にビット君の所に寄ってたんだけどね」
時間は数時間前に遡る。
***
白兎邸。
「お邪魔しまっすビットくん!」
「もっと普通に入って来てくれませんか?!」
バーン!と派手に扉を開けたアリスにビットは叫ぶ。
あまりに突然過ぎて持っていた書類を驚いて落としてしまった。
順番に並べていたのにまた一からやり直しだ。
ビットは思わず溜め息をこぼすがアリスは気づかない。
「全く君は。というか僕の家知らないはずですよね」
「トランプ兵さん達に教えて貰ったわ!」
ピースとアリスはビットにブイサインを向ける。
それにガクリと項垂れた。
トランプ兵何してるんですかぁあああ!
ビットは凄く叫びたくなった。
でも我慢、我慢しろ自分。
ズレた眼鏡のフレームを直しビットは拾い終えた書類を近くの机に置きアリスの方を見た。
「僕に何か用ですか?君の事だ。用もなく男の家に来ないでしょう」
「そうね!行くなら女の子の家がいいわ!それにしてもビットくんの家は本や書類やよくわかんない実験器具ばっかりね」
「人の話は聞きたまえ!」
「あははっごめんごめん!昨日聞き忘れてたんだけど、私ちゃんと元の世界に帰れるのかしら?」
首を傾げ少し困ったように眉を下げながらアリスは当初の目的を彼に話した。