法廷内にどしんと鈍い音が響く。

その場にいた全員が音のした方を見ると上の階から降りて、と言うか落ちてきたダイヤと彼女の下で下敷きとなっているロウがいた。

メアリーはふわふわとゆっくり降りてきている途中だった。

ああまた出たよ。ロウのドジ体質が。

そう思いながら先に着地していたチェシャは頭をかいていた。

ロウはドジ体質でしかも本人には自覚がない。
そのせいかよくトラブルに巻き込まれるのでいつも見ててひやひやする。


「締まらねぇなオイ」

そう言ったのは誰だったか。


「イタタ…。あ、ダイヤ大丈夫か?」

「人の心配しないで自分の心配しなよ。ってかこうなるって分かってて何で無茶すんの」


立ち上がり倒れているロウの腕を引っ張ってやりながら呆れた表情で見た。

こてりと首を傾げるロウはどうやらチェシャみたいに着地出来るだろうとふんでいたようだ。

どこから出てくるんだその自信は!とダイヤは叫びたくなるが諦めた。
言っても無駄なのだ。

それに彼に怪我がないと分かっただけで十分だ。


「待たせたね。話続けてよ」

「フフッもういいのかしら?退屈させませんわね貴方達は。さて」


どこから話そうかしらとエミリアは笑った。




色とは。

この色の国の住人達に課せられている特有の物である。
不明な部分が多く生命エネルギーに近い事だけがわかっている。

その色の中でも特有の12色、原色という物がある。


「赤、橙、黄、桃、緑、黄緑、青、紫、茶、黒、灰、白が原色です。その内の一つの青が貴方に課せられてるのですアリス」

「説明ありがとう白兎。原色を課せられた影響でこの世界に違和感を感じなかったのでしょう。さてここで一つ疑問が出てきますわ。何故異世界人の貴方にそれが課せられいるのか」


そんな事今までなかったのだけれど。


どうしたものかしらと口に手を添えながら言うエミリアにアリスは周りにいるダイヤ達を見るが彼女達も同じことを思っているらしい。


「何にせよ。貴方は選ばれたと言うことかしら。この国は不思議な事がよく起こるからワタクシにもわからないわ」

「はあ…」

「女王適当過ぎます。もっとこう真剣に」

「飽きましたわ」


飽きたんかい!とその場にいた全員が心の中で突っ込んだのは言うまでもない。
声には絶対出せない。出したら首を切られそうで。

なんとも言えない表情のダイヤ達そっちのけでエミリアはそうそうと手を合わす。


「アリス貴方以外にも原色を課せられている住人が調度この場にいますから紹介しておきますわね」


【桃】のハートの女王、エミリア
【黒】のスペードのジャック、タクト
【灰】の白兎、ビット
【紫】のチェシャ猫、チェシャ
【白】の夢魔、メアリー
【黄緑】の帽子屋、ロウ
そして【赤】の帽子屋、ダイヤ。


「残りの原色の住人にはいずれ会うでしょう。では改めて…ようこそ【青】のアリス色の国へ」


ワタクシ達は、貴方を歓迎しましょう。


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