No kidding!!



※学生坂田と土方先生




「あけましておめでとうございまーす、いらっしゃいませー」

ああ、新年早々何やってんだか。
こっちはちっともめでたくねえんだよさっさと帰って録画したガキ使見てえんだよ!と内心ぼやきながら、必要最低限の笑顔で客を迎え入れる。
絶対将来接客業には就かねえ、と心に誓いながら黙々と仕事をこなしていると、見覚えのある姿が視界に入り込んできた。

「あ、せんせー」
「おう、坂田か」

あれ、なんだか今日は機嫌が良さそうだ。眉間のシワが見当たらない。
いつも俺が声をかけると、必ずといっていいほど、「またお前か」とでも言いたげな顔を向けてくるのに。

「なに買いに来たの」
「年賀状。インクジェット用のやつ置いてるか?」
「ございますよー。なに、てことは俺宛のもあんの?」
「クラスの分はもう出した。家帰ったらポスト見てみろ」
「お、楽しみにしとくわ」

思わず弾んだ声をごまかすように、へらりと笑うと。

「ンな大したモンじゃねーよ」

続いて、ふわり。やわらかく先生が笑った。口角を上げた不敵な笑みや苦笑いならよく見るけれど、こういった笑顔は珍しい。

「先生、なんか今日ご機嫌だね」
「…そうか?」
「もしかして俺に会えたから?」
「だったら何だ」

「…へ、」
「冗談だ」

新年早々ご苦労さん、と続けてくしゃりと俺の髪を混ぜると、そのまま先生は足早に立ち去っていった。

「…年賀状買いに来たんじゃねえのかよ」

呆気に取られた俺が漸く発した声は、自動ドアの向こうに消えた後ろ姿には届くはずもなく。

「おーい銀さん、なに嬉しそうな顔してんの」
「あ?長谷川さん目ぇ悪くなったんじゃね?」
「ええ?いや、さっきのお客さんになんか良いこと言われたのかと思ってさ」
「ンなわけねえだろ、…冗談じゃねえ」

ああ、本当に。冗談じゃないと言ってくれ。


(11/01/01)
冒頭の坂田にわたしの気持ちを代弁させました笑
そんなわたしですが、今年もよろしくお願いいたします〜!

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