シズちゃんが俺のチンコから一旦手を話して、戸惑っている。
「いやそれは……」
シズちゃんはきっと、どんな形であれ俺を傷付けるのが嫌なのだろう。
俺は下半身がムズムズする感覚を感じながら、シズちゃんに摺り寄った。さっきまであんなにでっかいものを突っ込まれていた後腔はすっかり締まりきれなくなってひくひくと孔を収縮させながらシズちゃんの精液を垂れ流している。
「シズちゃんっ、俺とするの、嫌になった?」
「そうじゃ無ぇ!」
「……じゃ、みてて……」
指を後ろに回し、自分で中をかき混ぜる。頭が沸騰しそうなほど恥ずかしかったけど、よく解しておかないとまた痛くて苦しくなる。いきなり三本の指を突っ込み、ぎこちなくバラバラに動かした。
「……ちゃんと、解せば、ね? だいじょうぶ……んっ、おれ、ちゃんときもちぃかったよ? しずちゃんとえっちしたぃ……ちんこ入れて、いっぱいしあわせにして?」
いつの間にかまたガン勃ちになったシズちゃんのチンコを掴み、ちょっと怖かったけれどそれを後腔に向けて跨がる。孔の入り口に押し当ててると、やっぱり凄く熱くて硬くて怖い。でも、せっかく恋人になったのだからちゃんとえっちもしっかりしたい。
「………………ふぅっ……!」
ゆっくり腰を下ろすと、ずず……っとさっきよりも大分楽に亀頭が後腔内に収まった。まだ結構苦しくてふぅふぅ息を吐きながら腰を下ろしていく。
シズちゃんは、流石に一回イッたからか服の裾を握り締め、ちょっと眉を寄せて苦しそうにしていたけれど、まだ大丈夫そうだ。
「…………んっ」
やっと腰を完全に下ろすと、生理的な涙がぽろぽろと零れてくる。
「シズちゃ、ぁ、んっ、うごいて、いーよ……? えっ? んあぁあっ! はやっ、ぃいっ」
そう言ってシズちゃんの顔を見ようとした瞬間、ガクンッとシズちゃんのチンコが俺の中を突き上げてきた。
「ひぁっ!?」
腰を持たれている俺を腕力だけで持ち上げ、ズルッとギリギリ抜かれてから後腔に杭を打ち付けるかのようにシズちゃんの腰が勢いよく突っ込まれる。
そしてドサリと仰向けに布団に寝かされ、まんぐりがえしの格好で貫かれた。
「……ひんっ!」
力一杯しこりを擦られて奥まで貫かれて、頭が真っ白になる。シズちゃんは俺のチンコにも手を伸ばし、シズちゃんのより小さい俺の亀頭の先端をグリグリと刺激した。ひっきりなしに出される先走りを棹に塗り込め、穿ちながらタマもマッサージする。
先ほどとは比べ物にならない苦しいくらいの刺激に、俺は涎を垂らしながらだらしなく喘いだ。
「ひあっ、んぁっあっ、らめっ、だめぇっ……! しずっ、ちゃっ、あっ! でるっでるでるでちゃう……っ!! きもちぃよぉ………………!!!!!!」
「……………ぅぐっ……………!」
今までで一番シズちゃんを締め付けて、俺はイッた。
シズちゃんの迸りが腹の中をじんわりと広がっていく心地好さに酔いしれる。
俺の奥までチンコを押し込んで最後の一滴までしっかり俺の中に出しきると、シズちゃんは俺の上にどっと倒れ込んできて、俺をぎゅっと抱き締めた。
そして俺の首元に顔を埋めながら言う。
「…………いざや……好きだ……」
俺もはぁはぁと必死に息を整えながら、シズちゃんの背中に手を回した。愛しさが込み上がってきて、満たされた気分になる。凄く気持ちが良かった。
「…………おれも、すきっ」



◆◆◆◆◆




きゅるるる……と腹がまるで、仔犬のように鳴いた。腹に鈍痛がする。耐え難い腹痛だ。おまけに後腔の入り口がひりひりして痛い。
原因は明確だ。あの後結局二人で抱き合ったまま眠ってしまったせいだろう。中に入った精液もろくにかき出さないまま、一晩過ごしてしまったのだ。自業自得とはいえ、大分辛い。
「……大丈夫か? ポカリあるぞ、ほら飲め……あ、温い方がいいか。ちょっと待ってろ」
腹を押さえてシズちゃんの布団の中で丸まっている俺を、シズちゃんが甲斐甲斐しく看病している。シズちゃんのせいというわけでもないけれど、やはりかなり責任を感じているらしい。腰をゆるゆると撫でられていると、妙にリラックスしてしまう。でもお陰で今日の仕事は全部キャンセルだ。元々午前中の予定は空けていたのだが、午後も厳しそうである。
俺は電源を切っていた仕事用の携帯に手を伸ばし、四木さんにキャンセルの旨を伝えるメールを打つ。
「……マジで悪ぃ。途中で止めりゃ良かったな」
情けない声を出すシズちゃんは、俺に白湯を渡しながら項垂れた。
シズちゃんっていつもは俺に傍若無人な態度をとるくせに、こういう所は本当に気にしいだ。素直に謝るところを見ると内弁慶とも違うらしい。
「まぁ、途中で止めてたら別れるとこだったけどね」
面白いので思っていた事をボソッと呟くと、シズちゃんがショックを受けたような顔で俺を見る。
「……だってあんなとこで……嫌じゃないか。処理するのもしてもらうのも。なんていう辱しめだよ」
あんなに興奮して完全に勃起した状態で、一回イッて賢者なシズちゃんに見られながら処理されるとか、どんなプレイだ。
俺はおびただしい量になっている受信メールを一件ずつ目を通しながら捨て犬のような顔をしたシズちゃんを見た。
「そんな事より…………もうえっちしないとか、言っちゃやだよ?」
試しに考え付いた事を言ってみると、シズちゃんの肩がギクリと震えた。実に分かりやすい反応だ。
俺はメールチェックを終えた携帯を枕元に置き、波江に仕事のメールを送る。シズちゃんとただ会う為に時間を空けるだけでこんなに弊害が出るのだ。
それだけが理由では無いが、だから今まで誰とも付き合ってこなかったとも言える。単純にその他大勢が恋愛対象にならなかったと言うのもあるけれど。(俺の人間愛は平等なものなので)
「……俺は気にしてないから……っていうか、俺が好きでしてもらったからシズちゃんは気にしなくていいの! 俺の彼氏なんだからそんな事でいちいち思い詰めないでよ。俺は大概の事じゃ傷付かないから怖がらなくていいんだよ」
波江へのメールも打ち終わった俺は、携帯を放ってシズちゃんを見上げて言った。俺がそう一気に捲し立てると、シズちゃんはきょとんとして俺を見る。
付き合いはじめてからシズちゃんはあまり暴れなくなった。シズちゃんはコントロールする気になれば出来る子なのだ。
「……でもよ……」
「いいったらいい! そんな事気にするくらいだったらもっと良いこと考えて。後片付けありがとう」
まだ気にしているシズちゃんに俺は一喝入れると、また布団にくるまった。シズちゃんが全部掃除をしたので清潔なシーツだ。
「でも……やっぱ今日はクリスマスだからさ、こんな日にお前一人だけ辛いとか、悪ぃ」
そんな俺を見ながらしょんぼりと小さくなってシズちゃんは言った。余りに存在感が薄いので忘れていたが、そうか。そう言えば今日はクリスマスだったっけ……と思い出す。
でも俺はクリスチャンじゃないし、玩具を貰って喜ぶ歳でもないからすっかり忘れていた。そんなの気にしなくていいよ、と口を開きかけると、シズちゃんが小さな箱を手にして唇を尖らせている。
「……お前に喜んでもらいたいと思ってせっかく用意したのに……お前抱き心地良いから寝過ごしちまうし」
「何の事?」
ご機嫌斜めのシズちゃんはぶつぶつと何やら言いながら俺の枕元に箱を置いた。
「………………ん」
小さいと思っていたけれど意外に大きい。深緑の包装紙に金色のリボンがかけられたいかにもなクリスマスプレゼントだ。
枕元にプレゼントだなんて子供じゃないんだからと思いつつ、シズちゃんの考えそうな事である。
だから昨日俺がプレゼントを渡したとき変な顔をしていたのか。
「子供じゃないんだから……」
言いつつ、こういうのは初めてだ。まさかシズちゃんに何か貰えるとは思っていなかったので不覚にもドキドキしてしまった。
クリスマスなんてカップルが公然とイチャイチャする為の日だとばかり思っていたのだが、言われてみればこう言うのが普通のクリスマスと言うやつなのだろう。
シズちゃんにときめいてしまった。朝チュンマジックだろうか。
俺はシズちゃんに手を伸ばして首に抱き着いた。シズちゃんは驚いたように俺の腰に手を置いて身体を支える。
「治ったらコンドーム買いにいこ」
また生でしてお腹壊したらやだから、ね? とシズちゃんの耳元で囁く。
「あぁ!?」
「……だめ? シズちゃんのおっきいのが入る、薄いやつ、ね?」
シズちゃんは吃驚したように俺を見た。目が合った瞬間、シズちゃんの顔がみるみる内に赤くなっていく。
俺はシズちゃんの頬っぺたにちゅっとリップ音を立ててキスをした。