Special Thank You!


【陰陽師】もみぢは



「わぁ……」
睡蓮が笑う。一面に広がる赤・黄朱・橙……紅葉した木々は鮮やかに紅葉し、彼女達を迎え入れた。
「たまには京を離れるのも悪く無いだろう?」
黒耀が問う。
「あら、ちょっと前天狗を追いかけて山を歩いたばかりだわ。でも、ええ。とても綺麗ね。」
小さな手が、舞落ちた紅葉を拾い上げる。
それをスッと天にかざし、陽を透かし仰ぎ見る睡蓮。
「昔……」
そしてゆっくりと話し始める。
「昔、部屋にあった高い窓から、時折舞い込んでくる紅葉を拾って、こうやって透かして見ていたの。さし込む細い陽の光を透かして見ると、いつかこうしてゆっくり外を見れる日が来るかなぁって。」
睡蓮の肩で、イモリの泡沫が首をもたげ、その赤い瞳で顔を見上げた。
「もっと、いろんな場所を見たいわ」
「お前が望むなら、何処へでも連れていこう。人一人乗せて飛ぶなど訳もないからなぁ」
「そうだな、便利な乗り物があるんだから、扱き使うといい」
「泡沫、貴様今度上から放り投げるぞ?」
「月」
その言葉に、黒耀と泡沫は、言い争いを止める。
「ずっと、月に行きたいと思っていたの。」
「睡蓮……。」
「小さな高い窓から覗く月、あそこにお母様やお父様が居るって聞いてたわ。きっと、楽しくて美しくて幸せな場所なんだろうなって。」
「でも。」
ふんわりと優しい笑顔を浮かべ、睡蓮は言葉を紡ぐ。
「今は皆が居るし、黒耀と泡沫が良くしてくれるから、ここに居たいって思ってる。冬には、真っ白になった雪原で、雪うさぎを作りたい。」
「いいだろう。なぁ?泡沫。」
「まぁ、俺は寒いのは苦手だからな、ほどほどに、な。ああ、着いたな。見せたかった景色は、ここだ。」

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ミントBlue






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