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銀魂→べるぜ→黒バス→庭球
*銀神(銀魂)
じわじわとした熱気が万事屋に入り込んでくる。
エアコンがない万事屋は当然涼しい筈がなく、たった一つの扇風機で頑張っていた。
「暑いアル…」
「言うな、余計暑くなるだろ」
今日、新八はお通ちゃんのライブがあるから、と言って休んでいて銀時と神楽の二人きりだった。
神楽は扇風機にへばり付いていて、銀時はソファに座って手で扇いでいる。
「銀ちゃん、今時やっぱりエアコンネ!買いにいくアルヨ!」
「そんな金が何処にあるって言うんだよ」
今日の仕事もなし。
最後に収入があったのはいつだったか、と銀時は考える。
どう考えてもエアコンを買えるような金はない。
「お前そんな暑いならズボンじゃないの着ればいいだろ?あのスリット入ってるヤツ」
「あれは今洗濯中アル」
「じゃーしょうがねぇな」
銀時は立ち上がって神楽の隣に腰を下ろした。
扇風機が向く度にさらさらと髪が揺れる。
神楽はちらりと横目で銀時を見ると、いつも着ている着物をぐいっと引っ張った。
「…なんだよ」
「銀ちゃんこそこれ脱いだらどうアルか。ちょっとは涼しくなるアルヨ」
「あー駄目だって、これ脱いだら銀さんじゃなくなっちゃうじゃん!これを着てるから銀さんであり、言わばトレードマーク!他の服を着るのは特別な日だけ!」
「知らねーヨ。それに今は私しかいないアル。他に誰も見てないから平気ネ!」
「そういう問題じゃねーの」
銀時はそう言って神楽の頭をわしわしと撫でると、扇風機を切った。
扇風機はゆっくりと動きを止め、それを見て銀時が立ち上がる。
「何で消すアルか!」
「出掛けるから」
「エアコンアルか!?」
「んな金ねぇよ。飯食いにいくの」
玄関に向かって歩いていく銀時。
神楽は暫く止まった扇風機の前で瞬きを繰り返し、軈てハッと我に返って慌てて銀時を追い掛ける。
「置いてくぞ神楽」
「待ってヨ銀ちゃん!」
銀時は玄関先で待っていて、神楽が隣に並ぶと歩き出した。
いつものように神楽は傘をさし、銀時は着物に腕を突っ込んで歩く。
暑さを我慢しながら歩を進め、逃げるように店に入っていく二人だった。
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