私はミーシャ。本名楢崎美紗。
スケット団という学園支援クラブに所属する高校2年生です。
この開盟学園はすごく自由な校風で、服装は自由、カバンも自由(一応指定のものはあるけど)。
そしてその自由な校風を創った人は、今この学校の生徒会長。通称、置き物生徒会長。
てっきり狸の置き物のような人だと思っていた私は、会長に対してすごく申し訳ないと思ってる。
ほんとに、全然違う。背が高くて、頭がよくて、それでいて…


「カッコいいなぁ……」

「え?俺?」

「そんなワケないやろ!アホか!」

『ミーシャがカッコいいと思う男はただ一人…そう!安形惣司郎だ!』

「うわあああ!!おっきな声で言わないで!!」

「ぼげらッ!!!」


スイッチを殴ったつもりが間違えてボッスンを殴っちゃった!
私は空手・柔道・合気道といった格闘技系のスポーツをやってた。…っていうか、免許皆伝した。
だから、ただの『しっぺ』でも痛い。物凄く痛い。次の日真っ赤に腫れる程度には。
そんな私がボッスンをほぼ全力で殴ってしまった。
明日ボッスンの顔には包帯が巻かれてるかもしれない。そうなれば確実に私のせいだ。


「ご、ごめんボッスン!つい…!」

「いやいや、今のはミーシャ悪ないで。スイッチが悪いんや!」

「だったら何でスイッチ殴られてないの!?何で俺が殴られてんの!?」

「スイッチだと思って殴ったんだけど…」

『たまたま廊下に10円が落ちていてな。いや、たまたま』

「絶対たまたまじゃねーだろ!」


……、まあ、ボッスンは元気そうなので大丈夫みたい。
そんなことより、何で。何でばれてるの。
確か言ってなかったはず。ボッスンにも、スイッチにも、ヒメちゃんにも。
それなのに何で!


「あー、ミーシャしょっちゅう安形のこと見てるもんな」

「そうそう!恋する乙女って感じやで!キュンキュンするわぁ」

『気付いてないのは当事者たちだけだろうな』

「え、」


…そんなに、見てた…?
当事者たちっていうのは、私と会長のことだよね。ってことは会長以外には気付かれてるってこと?
椿くんやミモリン達にも!?まさかキャプテン達にも!?……最悪だ…。


「あ、安形」

「えっ!?」

「うっそー」

「…ボッスンのバカ!死ね!」

「ごはッ!!」

『今のは完全にボッスンが悪いな』

「最低やでコイツ」


ボッスンにからかわれた。
…ムカついたからさっきと同じくらいの威力で殴った。
何か今度は動かないけど知らない!


『告白はしないのか?』

「い、いいいきなりすぎるよ!!」

「大丈夫やって!」

「むり!むりむり!絶対むりだからっ」


顔が熱い。
みんなしてからかってくるんだから…!
こ、告白なんて…まだ会長と全然接点ないのに!
唯一スケット団ってことでちょこっとお喋りしたりしたことがあるくらいで…。
会長が私の事、想ってくれてるはずがないんだから。


『(絶対安形もミーシャのこと好きなのに…何でお互い気付かないんだ?)』

「(知らんがな!でもなんやキュンキュンするわぁ…!)」

「(誰か…俺の心配して…)」






 
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