夜型軍師1 | ナノ
「……いい、かな……?」
「うむ……」
 竹中半兵衛はいつものように慣れた仕草で丸太のような脚を押し広げてその間に収まると、軽く目を閉じて躊躇いなく顔を寄せた。
 巧みな指技によって既に十分硬さを帯びているそれに舌を這わせる。
 下腹に鎮座する雄の象徴の大きさと、その持ち主の身の丈とは必ずしも比例するものではないのはよく知られることだが、豊臣秀吉のそれは外見を裏切らない常人離れした立派な代物だった。
 口淫を施す際にも完全には口内に収めることが出来ない為、まず舌で全体を舐め上げる。
それから先端を含み、舌先で押し潰すように刺激し、ぬめりを生む窪みを抉るように突くのだ。
 秀吉が視界の外で熱を帯びた吐息を漏らしたことに心の中でほくそ笑み、半兵衛はその綺麗な顔を唾液に塗れさせていった。
 生涯新しい妻を娶るつもりも女を抱くつもりすらも無い秀吉は、寝所に半兵衛以外の相手を招くことはない。
 このことは他の臣下も薄々察しているようで、半兵衛を秀吉の愛人だと認識している者は内外を問わず少なくはなかった。
そればかりか半兵衛が秀吉を誘惑し、正妻を排除した上で豊臣を思いのままにしていると信じる者さえいる。
 だが実際のところ秀吉に元々衆道の趣味は無い。今この時さえ半兵衛を愛慕の対象とは見ていないだろう。
 無論、その点は半兵衛も同様だ。もう女を抱かないという秀吉の心情を汲みつつ、男である以上肉欲を禁じられるようには出来ていないその体の内に日々蓄積される欲を搾り出す。
それは軍師であり、友人でもある自分が為すべき役目の一つだと考えていた。
 もっとも、その身に触れ、手際よく快楽を引き出していく行為を全く楽しんでいないと言えば嘘ではあったが。
秀吉は褥の上に仰向けに身を投げ出し、隆々たる裸身の全てを委ねている。
半兵衛はやはり裸体でその下肢に覆いかぶさるようにして口腔でもって奉仕していた。
秀吉は行為中ほとんど声を出すようなことはない。
しかし、呼吸に合わせて上下する胸や、時折動く四肢、巨砲と表現するに相応しいその肉杭が先走りを止め処なく滲ませていることで半兵衛は手応えを確かめ、充足感を得ていた。
「……半、兵衛……」
 掠れた声で名を呼ばれれば、そろそろ限界が近づいてきている合図だ。
秀吉のものから口を離し、手の甲で唇を拭いながら身を起こす。
「……任せてくれ、秀吉」

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