『いつかの夏へ』
2

 ドキッとする。

 光を浴びて眩しそうに細めた目で真っ直ぐ私を見上げる。

 すべてを射抜いてしまいそうな強い瞳。

 雅樹はマンガをてっちゃんに渡すと面倒くさそうに体を起こした。

「今日の中身なに?」

「らぶらぶハンバーグ」

「何それ」

 私の手から青色のハンカチで包んだお弁当を取るとあぐらをかいた上で弁当箱を開けた。

「おぉっ」

 上から覗き込んだてっちゃんが声を上げた。

 雅樹はピクッと眉を少し動かしただけで箸に手を伸ばした。

「ハートのハンバーグかよぉっ!!」

 てっちゃんは腹を抱えて笑い転げている。

「美味しいんだよ?てっちゃんの分も作ってこようか?」

「ばーか、いるかよ!じゃあ先行ってるわ、ごゆっくり〜」

 手をヒラヒラ振りながら歩いて行った。

 私は雅樹の横に座りなおすと弁当を広げて食べ始めた。

 付き合って一ヶ月半、弁当を作るようになって二週間。

 雅樹は毎日学校に来てくれる。

 遅刻しても授業には出なくても昼になると必ずここで待っている。

 二人で過ごす大切な時間だった。


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