『拍手小説』
も4-2
何でも完璧な私の彼氏の和真。
だけど一つだけどうしても気になっている事がある。
なぜか寝る時はいつも裸だった。
エッチな事をしたまま寝てしまうというのもあるかもしれないけれど秋が深まりさすがに裸に寝る季節ではない。
しかも自分だけならまだしも私も道連れにされる。
このままじゃ風邪を引いてしまいそうとせめて下着とシャツくらいは身に付けようとした私はベッドから床に落ちていた下着に手を伸ばした。
「動くな」
いつの間にか目を覚ましていた和真の腕が私の腰を捕まえた。
振り返ると眠そうに瞳を開いた和真が不機嫌そうに私を睨みつけている。
「ふ、服着るだけ……」
「必要ない」
相変わらずいつもの調子で返事を返した和真はそのまま私の体を引き寄せた。
温かい和真の体にすっぽりと覆われてしまった。
確かに人肌は暑すぎず寒すぎずとても心地良い。
「でも風邪引いちゃうよ……」
「暖房つけるか?」
いや……だから、どうして服を着るって発想が生まれないんですか。
エアコンのリモコンに手を伸ばそうとする和真にギョッとした。
「暖房までいかなくても……服を着ればいいんじゃないかなぁ……」
小さな声で呟くとギロッと睨まれた。
和真の腕の力が強くなった事に少しドキッとする。
「そんなに口を塞がれたいか?」
いつの間にか和真の体の下に組み敷かれた私は今まさに食われようとしている子羊のようだった。
愛想笑いを返すと和真が不適な笑みを返す。
「目が覚めたついでだ」
「つ、ついで!?」
「出掛ける予定もないしたっぷり汗を掻かせてやる」
「ちょ、ちょっとっ! 待って……ゆ、昨夜だってあんなに……」
「問題ない」
そっちになくたってこっちは……。
けれどそんな意見が通用するはずがなく私はあっという間に和真の手の中へと落ちていった。
―52―
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