カルアミルクの罠 



「ユーリのばかっ!!」


「・・・・・・」


・・・しまった。
目の前のティナは、珍しくお怒りのご様子。


「大事に取ってたプリンなのに!!ユーリなんか大嫌いだこのやろー!!」


ちょっと待て。
誰だそんな汚い言葉教えたのは。


「だから・・・悪かった。また買ってくるから。な?」


「やだ!!あのプリンはもう戻ってこないんだよ!!」


そう言ったティナの大きな瞳が涙でいっぱいになった。

マズい。
こんなところをリタ辺りに見られたら俺の命が危ない。


「・・・じゃあ・・・よし。今日のデザート、俺のやるよ。駄目か?」


確か、今日の料理当番はおっさんだからクレープでも作ってくれるはずだ。

俺は屈んで、ティナに目を合わせた。
相変わらず大きな瞳には涙が浮かんでいる。


「・・・・・・・・・・・・・・・うん」


「よし」


小さく頷いたティナの頭を撫でてやれば、ごしごしと目を擦って、ティナがゆっくりと顔をあげた。


「・・・ユーリ、あのね、大嫌いって・・・嘘、だからね?」


・・・・・・・・・・・・ちょっと待て。
なんだこの可愛い生き物。


「・・・ユーリ?」


「あ、ああ。当たり前だろ。本気にしてねえよ」


そう言えば、よかった、と嬉しそうに笑うティナ。
・・・頑張れ俺の理性。


「じゃあ・・・今度はユーリの分までプリン買ってきてあげるね」


にっこり。
狙ってんのかこいつ。
あーもう知らない。こんなに誘うこいつが悪いんだ。


「───さんきゅ」


引き寄せれば、綺麗な銀髪がふわりと揺れた。
そして額にキスした瞬間、ティナの顔が真っ赤に染まった。





(ゆ、ゆーりのばかぁ!!)
(叫ぶ彼女を抱きしめたまま)
(俺は小さく笑った)






     


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