「かんぱーい!」
「かんぱい……?」
「……乾杯」

現在、私と徐庶さんは飲み屋にいる
雛子に連れてこられたのだ
明日も仕事があると断りたかったのだが、雛子の雰囲気が尋常ではなくて断りきれなかった
徐庶さんは、じょうさんと紹介した……というより、私が口を滑らせてじょと言ってしまったための苦肉の策だ

「信じられないと思わない!?」
「うん、まあ……」

雛子曰く
彼氏の弟と顔合わせがてらの飲み会だったそうだ
だから予約してお金も支払済で、それを2人で当日キャンセルしてきおったのだと
弟は彼女と約束入れたから、彼氏の方はそれを聞いて残業をする事にしたから来れないと

「キャンセル料発生する店だって言ってたっつーの!」
「うん、落ち着こうね雛子」
「名前が付き合ってくれたからよかったよお……そうだ結婚しよう」
「まだ30分位しかたってないよ、酔い過ぎじゃない?」

徐庶さんが目を丸くしている

「女性同士で結婚出来るのかい?」

そして耳打ちされたのがこの質問だ
とても返答に困ります
一般的にはしませんよ、とぼかして答えておいた

「そうだ彼氏と一緒なのに、ごめんねじょうさん」
「彼氏……?」
「じゃない、親戚だよ」
「ふうぅん」

にやにやと此方を見る雛子は正直鬱陶しい
まあ、イライラを撒き散らさないだけいいのかもしれないけど
徐庶さんは不思議そうというか、疑問があるというか、そんな顔をしていた
私と徐庶さんを恋仲だと思ってるんですよと、こそっと伝えたら顔を赤くして、それを隠すように手元のビールを煽った
……大丈夫だろうか

「まあ反応を見ると彼氏じゃないんだろうけど」
「だからそう言ってるでしょ」
「でも最近名前と一緒にいる男の人は良い人みたいだから、くっつけばいいのにとは思うよ」

ハイペースでお酒を飲みながら、雛子は笑う
彼女は酒が入ると嘘をつけなくなるから、ストレートにこんなことを言ってくるのだろう

「心配させてるね」
「んふふ、友達の心配くらいなんでもないのよ」
「ありがとう、雛子」
「ありがとうより幸せになってほしいわぁ」

と、そこで雛子の携帯が鳴る
画面を見て顔を顰めてるのを見るに、彼氏なんだろう
ちょっとごめんと断って雛子が席を立ったので、私ももう少し飲もうかとテーブルにあるピッチャーに目を向ける
しかし、その中にあったはずのビールはもう入っていなくて
私の横の徐庶さんはそれなりに目が据わっているのだった


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