隣の男のオーラが非常に怖いです
ただオーラだけで怖がってるのも、と顔を向けて後悔した
表情集、怒の口だけ笑っているバージョンと言うか、つまり目だけ笑っていない
今までの奉孝さんの嫌味はスキンシップだったのかな、なんて思える態度だった

数分前の事だ

目的地に着いた私達は、とりあえずブラブラしてみる事にして、目的を持たずに歩きだした
眼鏡なんかで隠れる訳もなかった奉孝さんのイケメンオーラに周りの女性はため息をついていたのだけれど、隣に私が居るからか声を掛けはしない
聞こえる嫌味はあったけど、そこは予想の範囲内だから痛くもかゆくも無い
ただし、どうしても勇者はいるらしい

「あのぉ、ちょっとよろしいですかぁ?」

ミニスカに網タイツにヒールと胸元が見えるような上着、そんな露出度の高いベタな服装の女性が猫なで声で近付いてきたのだ
化粧は上手いけれど、香水付けすぎで近付きたくないタイプの彼女が奉孝さんの前に立ったので、仕方なく立ち止まる

「どうしたのかな?」
「私ぃ、1人なんですぅ」
「……それで?」

この辺りから、なんだか肌がぴりぴりしはじめた
直ぐに口を挟めば良かったかな、なんて考えても遅い

「一緒にショッピングしませんかぁ?」

そして、冒頭に戻る訳である
どうするんだ、機嫌取りするの私なんだぞと脳内で文句を言っても仕方ない
私は奉孝さんに寄り添うように並ぶ、それだけでなんとかなるとは思っていなかったけれど、流石は軍師

「すまないね、連れがいるんだ」

するりと私の肩に手を回して、そう言った
しかし分かった上で突撃してきている彼女が、その程度で諦める訳が無い
ちらりと私を見て鼻で笑った女性は、奉孝さんに向き直ると二歩程近付いてきた

「そんな子ほっといて一緒に遊びましょうよぉ」

最早、奉孝さんの顔を見れない
空気を読んでくれと思う
いや、空気を読んだなら最初から近付いてこないか
私は肩に回っていた奉孝さんの手を外して、そのまま握った

「名前?」
「行きましょう」

見上げた奉孝さんは驚いた顔、怒りはどこかに飛んだらしい
もし彼女が追い掛けてくるようなら車に戻ろうと回れ右をして、私の足は止まる

「ココナ、捜したじゃねえか!」
「……嘘ぉ」
「名前!?」

多分、奉孝さんに声をかけた女性の名前を呼びながら近付いてきたのは、健二だった


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