家事を終わらせた私は、陸遜さんを連れてショッピングセンターにやってきた
必要な物を買って車に積み込んで、通りかかった時に陸遜さんが気になっていたようだったので百均に入る事にした

眼鏡の説明を老眼鏡でしたら、試しにかけてよたよたしてみたり、ガラスのコップが山のように積まれているのに驚いたり、忙しくしていた陸遜さんがそれを気に掛けるのは必然だったのかもしれない

「名前さん、これはなんですか?」
「え、えっと、マッチ、ですね……簡単に火を点けられます」

説明を聞いた陸遜さんの目が輝いたのを、私は見逃さなかった
これは危ない……と言っても、流石にこの世界で無理はしないだろう

「どういう仕組みなのですか?」
「薬品と薬品を擦り合わせて燃やすんです……こんなのもありますよ」

近くにあったライターを見せると、首を傾げて近付いてまじまじと見る陸遜さん
私が火が出る場所を指差すと、うろうろしていた視線がそこに止まる

「此処から火が出ます」
「ど、どうやって!」
「詳しい仕組みは分からないですけど、こっちを押し込むと火が点くんです」

押しちゃ駄目ですよ、と釘を刺して陸遜さんにライターを渡す
くるくると回しながら見ているのが、新しいおもちゃを貰った子どもの様で可愛らしい
そうなると私としても、もっと喜ばせてあげたいと思ってしまった

「買いましょうか、ライターとマッチ」
「良いんですか!?」

大興奮だなあ、と危うく口に出しそうになった
飲み込んで頷いて、マッチとライターを持って会計に向かう
キラキラした目で私の後ろを着いてくる陸遜さんは、やっぱり子どものようだ
まあ、買うのがライターとマッチっていうのは、喜んで良いのか凄く微妙だけど

その2つを買って百均を出る
他に買うものも無いし、帰ろうと駐車場に向かっていると、花火を売っているのを見かけた
マッチとかライターを試すのにいい機会かもしれないと、折角だから買っておいた

「これでライターとかを試せますよ、晩ご飯の後にやりましょうか」
「はい、楽しみです……!」

陸遜さんは目に見えてそわそわしていた
楽しんでくれるなら良いんだけど、やっぱり物が物だから、少しだけ微妙な気分だと言うのは黙っておこう


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