俺らには様々な衣装がある。



 どこが出所かも分からない服が多いが、分かっていても逆に不安要素が増えるものも多い。(アビスマンやドクトルマンボなど)

 そしてそのなかで、俺が一番気になってる衣装がある。

 正確に言えば衣装のごく一部なのだが。

「…なぁジェイド」
「なんですかルーク?」

 只今ジェイドが装備している称号は「リゾートキング」。

 称号を装備すると服だけでなく髪型や小物類までもが変化するのだが、この衣装では、不可思議なことが起こっている。

「前、見えてるのか?」
「えぇ、見えますよ」

 …おかしいだろ。

 その衣装では、なぜか。

「それ、曇ってね?」

 ジェイドの眼鏡が白く曇っているのだ。

「そうですね、確かに曇ってますが」
「じゃあなんで見えんだ?普通ありえねーだろ」

 曇り眼鏡越しでもその赤い瞳がしっかりとこちらの目を捉えているのが分かる。


 俺はそれを凝視できずに反らす。
 じっと見ると、真面目な顔に間抜けな曇り眼鏡という絶妙なコンボに吹き出しそうになるからだ。

「それは私が普通じゃないからでしょうねぇ」
「あ、そ。……ぶふっ」

 チラと見ると、不意に目が合い思わず吹いてしまった。

「ルーク?」
「いや、もう、こっち見んなって、ぷっくくっ…」
「………」

 あ、やばいハマった。

 ジェイドの機嫌が下降し始めているのは肌でヒシヒシと伝わっているのに、笑いが止まらない。

「…わ、わり、ジェイド…ははははっ!」
「ルークぅ?そんなに笑うとは……いい度胸ですね」

「…ひっ!?」

 くるだろうと思っていた言葉だが、いざ発せられたとなると笑いも引っ込むほど恐ろしかった。













 後日。



「なぁガイ」
「なんだ、ルーク」
「ちょっとこっち来い!」
「おいおい引っ張るなよ。なんなんだ?」
「いいか、これからジェイドから目を反らすなよ」
「また唐突だな…」
「てきとーに話しかければいいから!おら行け!」
「扱い酷くないか!?……あー、旦那?ちょっといいか…」





 被害者が増えました。




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眼鏡が曇るのは事実です(笑)

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