朝起きたら、亜麻色の髪のおっさんになってました。


 そんな悪夢のようなことが、冗談でもなんでもなくて。

 実際、朝起きて隣を見ると、自分が寝息をたてて心地よさそうに眠っていた。



「…で、旦那。なんでこんなことに」
「私にも分かりませんよ。第一得になりません」

 目の前に座るは自分の姿。
 優雅に足を組み膝の上で両の手を重ね置いてる様は、もとのジェイドであったなら絵になるだろうが、自分からすれば気持ち悪い以外なにもない。

「旦那の場合、困ってる様子を見たかったから、で充分な理由になるからな」
「おやおやそれは心外ですねぇ」

 くすくすと笑みをこぼすも、やはり違和感。

「やっぱ、変な感じだな」
「えぇまったくです」

 お互いの言い様のない不快感と落ち着きのなさがこの部屋を支配する。

「あー…戻り方、どうするんだ」
「アテがないわけでもありませんが…」
「なんだ?」
「アレです」
「アレ…あぁ、ディストか」

 思い出すは半ばジェイドのストーカーともとれる自称薔薇のディスト。

「と言っても、今どこに居るかわかんないしな」
「そうですね。まぁ私はあまり気にしませんから、気長に待てますが」
「旦那…」

 はぁと一つため息をついて、頭をかく。
 これは自覚してる癖の一つで、妥協と諦めを自分の中で昇華しようとする仕草だと自己分析している。
 治そうと思っても、なかなか抜けるものではない。

 ふと視線を感じ頭をあげると、こっちを凝視している自分。

「なんだ、旦那?」
「いえ…」

 言いづらいのか目線を下へ泳がせ、眉間に指を寄せる。
 その仕草にジェイドは自らはっとし慌てて手を元の位置へもどした。
 無意識にメガネの位置を直してしまったのだろう。

「…自分よりも、あなたを見たいと思いまして」
「……は?」

 ……今、ものすごく可愛いことを言われた気がする。

「すみません変なことを言いましたね。忘れてください」
「いいや、変じゃないさ」

 俺もたった今、そう思った。

「抱きしめたくても、自分を抱きたくはないからな」
「…まったく、ろくな理由じゃありませんね」

 困ったように笑う顔を、普段のジェイドで見たかったと心から思った。








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後日ディストをフルボッコする2人が見れるでしょう


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