今日は猫の日。

 俺は首輪を買った。


「馬鹿ですか」

 そう伝えると、開口一番にこう言われた。

「馬鹿って、いきなり酷いな旦那」
「あなた猫なんて飼っていないでしょう。せいぜいあのブウサギ達くらいですか」
「あの子らはピオニー陛下のペットだろう。それに、俺にはちゃんといるさ」
「ほう」

 意外だ、という言葉が返ってきた。

「猫というより犬が似合いますよ」
「そりゃ意味が違うだろ」

 苦笑いで返せば楽しげに笑う声。

「それで、あなたの飼う猫とはなんですか」
「飼ってはいないな」
「では野良?」
「それも違う」

 検討がつかないという表情をしてる。
 こんな顔はパーティでさえあまり拝むことはできない。
 これは、自分だけの特権だと思いたい。

「では一体…」
「はい」

 す、と首輪を差し出すと、怪訝な顔をされた。

「…………ガイ」

 頭の良い彼のことだ。すぐに意味が分かったらしく、かなり低い声で名を呼ばれた。

「飼ってる、じゃなくて、俺の、な」
「………」

 それをスルーして伝えたかったことを伝えると、口を噤んでしまった。
 それでも、俺には彼の様子はけして嫌がってるとは思えなかった。

「否定、しないのな」
「…えぇ、しませんよ。だって」

 あなたも私の、でしょう?





 後日、旦那は犬用の首輪を買ってきた。



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ジェイドって猫っぽいよね!

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