「ヒューバート、俺と結婚しよう」
「寝言は寝てから言ってください」

 もう夢の中で言った!なんて答えが返ってきて、僕はこのどうしようもない兄をいかにして処分しようか真剣に考え始めた。



 この兄が突拍子のないことを言うのは今に始まったことではないが、いい加減うっとうしいことこの上ない。
 今日も今日とて訳の分からない愛の告白じみた戯言を吐いてくる。

「いいですか兄さん。まず、男同士では結婚できないんですよ」
「あぁ」
「そして僕らは書類上は別の戸籍ですが血の繋がった兄弟です。兄弟は結婚できません」
「兄弟だもんな」
「そうです。分かっていたならなぜ…」
「でも大丈夫だ」
「何がですか」
「法律なら、リチャードがなんとかしてくれる!」

 あぁこの人は。

「馬鹿ですか。なんで弟と結婚したいがために親友に法の改変を求めようとするんですか!」
「リチャードなら!」
「だ か ら!陛下を頼るのはやめなさいっ。それにたとえ男同士の結婚が認められたとしても、血の繋がりがあるならできません!世間が許さないですよ!」
「そんなもの俺がなんとか「できるものじゃないでしょう!」

 いつものみんなに見せる頼れる兄さんの面影はいずこ。
 そこら辺に置いてきてしまったならすぐに拾って装備してほしい。

「とにかく!僕は兄さんと結婚はしません」
「理由を述べよ!」
「理由…?そうですね。性別と血の繋がり、それと、僕はストラタを出る気はありません。兄さんの話では僕がウィンドルへ嫁ぐようなことを言っていましたがふざけないでください。養子云々のしがらみは無くなったとはいえストラタに恩があるのこと確かです。なのでストラタを守ることが僕の生きがいのひとつでもあるんです。分かりましたか」

 真剣に話を聞く体勢になっている兄さんに説得ともとれる言葉を連ねると、妙に納得した顔であぁ!と声をあげた。

「つまり、俺がヒューバートに嫁げばいいんだな!」
「…………」


 無言で部屋の外へ蹴り出すと、あぁんという気色悪い叫びとともに転がっていった。



 さて、明日はどんなことを言ってくるのやら。







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なんやかんや期待してる弟



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