「んー、どこにしよ」

ペラ、ペラと紙を捲る音が
万事屋の室内に響く

「あのー、なまえちゃん?
ナニしてるのかな?」

あ、間違えちまった
ナニじゃねェな、何だ

「何って、銀ちゃんと遠くに出かけたいな、って
ダメ?」

ナニについてはスルースキルだけど、何コレちょー可愛いんですけど?!
よし、じゃあちょっくらへそくりを出すか
こんなとこあの餓鬼共にみられちゃァ駄目だからな

「ダメじゃねェけどヨォ」

金は?、とわざとなまえに聞く
そのすきに俺のへそくり隠し場所を漁る
ここで俺が「まァ、俺がだしてやるけどよォ?」とか
言って出すか
ん?、あれ?あれぇ?!
な、ない!?俺のへそくりがないィィィ!?
や、やべどうしよコレ

「あ、そっかーお金、ないもんね」

無理なこと言ってごめん、と健気に俺を見るなまえ
くそ、何としてでもなまえと遠くに!!!遠くに出かけてやりてぇ!!!

「や、それはー」

どうすればいいんだァ!?
あ、そういえば

「なまえ!!!今から行くぞ!!!」

「は!?ちょ」

あそこなら行ける!!!金もなんとかなる!!!
俺サイコォォォ














「で?銀ちゃんは何でこんなとこに連れてきたの?」

俺を正座にさせて説教するなまえ
なんというかこの眺めもなかなかだな

「ここラブホだよね?アタシ遠くに行きたいって行ったよね?」

「え、ほら遠くにイきたいって、ね?」

言ったとおりー、あははははと続けるがなまえの顔を
見ると下を向いていた

「なまえ、ちゃん?」

どうしたのー?とふざけて聞きながら顔を覗き込む
すると急に

「銀、ちゃんとだったらど、どこでも行きたい、けど」

真っ赤になりながら
別の意味でも、ね?と付け足すなまえ
ちょやべェ、可愛いすぎんだろ
もしかして、誘ってんのか?!
そうなのか?!
なら、こたえてやれねェとな

「でも」

「あ?」

「へそくりがあるのは聞いてないな−?」

ヒラヒラ、となまえの手の中で
揺れる俺のへそくりらしきもの

「ちょ、はァ?!」

「なまえ、悲しい」

と泣き出すなまえ
どうしていいか分からず
とりあえず肩を抱こうとすると

「なーんて言うと思ってた?
このお金は神楽ちゃんや新八君のお給料として使うから」

手を振り払いベッドに腰掛け
残りは貯めてる家賃として
お登勢さんに払わなきゃねーと続ける

「お、俺のへそくりなくなっちゃうじゃねェか!?」

「愛があれば大丈夫だって」

満面の笑みを俺に向けるなまえ
もう何も言えません








か→金はなくとも愛はある






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