「ねぇねぇ君いま一人でしょ?
良かったら俺と」

どうせOKなんだろ?
フッ、分かってるっつーの
女の肩に手を置き
引き寄せる
そうしたら必ず女は堕ちる、はずだった

「お馬鹿さん」

クス、と微笑んで
デコピンをされる
ヒリヒリする額と
去っていった彼女に唖然とした
なんだこの感じ
ていうか何なんだあいつは
俺は朝暇で
学校に行くのめんどくせぇと
思いながら足を進めていた
そしたら前方に
黒髪ストレートの
でいかにも気弱で純情そうな
美少女がいたわけで
まぁ、そんな子を見りゃ
ナンパ癖の悪い俺は
さも当たり前に
声をかけ、どこかデートにでも
誘おうと考えていたら
そうだ
まさに先ほどのような事件がおきたのだ
いや俺だぞ?!
この雷門一かっこいいと言われ
モテモテの俺様が
あいつを気になっている、だと
今日の俺はついていないな、と
思いながら再び足を進めた
まさかあんな光景を
目にすることも知らずに











「初めまして、えと
みょうじなまえと言います
その何というか
よ、よろしくお願いします」

な、何なんだこいつは
今は放課後で俺は
サッカー部に新マネージャーです、と言った
神童についていきながら
可愛い子か綺麗な子がいいなと
我ながら失礼なことを
思いながらサッカー塔に着くと
今朝の彼女に遭ってしまった
しかし彼女は俺を見るなり
慌てて今のようなあたふたな
自己紹介をしたのだ
一体これはどういうことなのか
こいつは双子か何かなのか
それとも俺が朝見たものは夢なのか
俺の表情はいつもの
王子スマイルだったが
頭の中じゃはてなでいっぱいだった
すると急にそのなまえという
少女は俺に倒れてきた
貧血か、大丈夫かと周りが
戸惑う中俺はその言葉を
見逃さなかった

「アタシのこと気になってるでしょ」

耳の近くで放たれたその言葉は
妙に色っぽくて
綺麗な声だった
顔を向けると
妖艶な美しさを放つその顔に
俺は堕ちた、かも知れない




(大丈夫ですか?!二人共?!)
(お、前)
(南沢先輩?なまえがどうかしましたか?)
(ダブルディーラーって気がついたかしら)





ダブルディーラー
(裏表)
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