【あなたで妄想ファンブルマート】




【登場人物(セリフ数)】


♂/店長(4):ファンブルマートの店長。店長なのにあんまり威厳とかがない。
♂/イイダ(27):いわゆるバイトリーダー。イケメンなのに口を開けば色々クズい残念系男子。
♂/ウエダ(22):ノリの良い大学生アルバイター。全体的に軽い。ノリも軽い。
♂/ナガト(30):最近入った高校生アルバイター。店員唯一の常識人(暫定)だが隙が多い。ガバガバである。
♂/オクダ(21):のほほんとしたファンブルマートの癒し系。いつも朗らかで口調もおっとりしている、が…。
♀/OL(6):キリリとクールビューティそうなOL。アルバイターたちの妄想の餌食になる。(JKと兼役も可)
♀/JK(6):ほんわかゆるふわ系そうなJK。アルバイターたちの妄想の餌食に以下略。(OLと兼役も可)


【配役表】
店長:
イイダ:
ウエダ:
ナガト:
オクダ:
OL:
JK:




【本編】


ナガト   いらっしゃいませー、ようこそファンブルマートへー。

イイダ   らっしゃっせー。

ウエダ   エアロスミッスー。

ナガト   ちょ、ウエダさん。なんすかエアロスミスって。

ウエダ   え、お前しらねぇの?「エアロスミス」と「アランドロン不在でした」はコンビニ語で「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」なんだぞ?

ナガト   そんなの初耳ですよ!しかもなんでアランドロンは不在なんだよ!

ウエダ   え、そこ聞いちゃう?聞いちゃうー???

イイダ   アランが女性にアランしちゃって嫁さんにばれてドロンすんだよ。常識だぞ。

ナガト   あーもう良いです、そんな話を持ち込んじゃった俺がバカでした、えぇバカでした!

ウエダ   やーいバーカ。

ナガト   うっせバーカ!!…はぁあ、なんでこの人たち俺よりも年上なのに精神年齢が低いんだ…。

オクダ   あれぇ、ナガト君。大丈夫ー?元気ないねぇ。

ナガト   あぁ…オクダさん…お疲れ様です…。

ウエダ   おっ、オクダさん乙でーす。

オクダ   お疲れ様ー。それよりナガト君どうしちゃったの?えらく疲れてるみたいだけどー。

ウエダ   彼女と夜の大運動会とか三回くらいやっちゃったから疲れてんですって。

イイダ   あーそうそう。彼女が俺のこと放してくれなくてーとか言って。

ナガト   何捏造してるんですか?!元はといえば二人が変なこと言い出すからでしょ?!

イイダ   え、じゃあ何、彼女と夜の運動会しないわけ?この間家に泊まりに来たとか言ってたよな。

ナガト   えっ…いや…。

ウエダ   これはしてないな。うん。顔がしてないって言ってるわ。

オクダ   あー、ナガト君はピュアなんだねぇ。良いと思うよー。

イイダ   彼女ができたらパコンと一発ぶちかますもんだろ、それが男だぞ。

ナガト   言ってること割とひどいですよ?!しかも俺の恋愛事情とか関係ないでしょ?!

イイダ   そうだな。お前の彼女がよほどの美人で器量もよくて俺のウ゛ルストと相性が良くない限りは関係ないな。

オクダ   その条件満たしてたらどうするの?

イイダ   全力で奪う。

ナガト   最ッ低だな!!

ウエダ   フゥー!惚れた女のために全力を注ぐイイダさん超カッコイー!

オクダ   でもイイダ君ってほんとモテるよねぇ。外からイイダ君のこと見てる女の子とかも多いもんねぇ。

イイダ   そろそろストーカー被害として訴えてもいい頃だな。

ナガト   なんでそうなる?!

オクダ   イイダ君ってすごいモテるんだけど好みの子以外には興味ないんだって。

ナガト   なんてクズだ…。

イイダ   何がクズだ。厳選してんだよ厳選。

ナガト   どっかのポケットなモンスター選ぶみたいな言い方しないでくださいよ…。

ウエダ   そういえばイイダさんの好みってどんなですか?!俺としてはやっぱベタにボンッキュッボンなツヤっぽいお姉さんがいいんですけどー。

イイダ   見た目よくて性格よくて、可愛さのなかに女の色気があって金があって俺の言うこと全般聞く女。

ナガト   ほんっと最低だなアンタ!!

オクダ   あ、たとえばあんな感じの人とかどうなのかなぁ?ウエダ君好みっぽそうな感じだけど。

ウエダ   おぉ!スーツがビシッと決まったクールビューティなOLさん…確かに俺好みっすね…!

OL     あの、すいません。ここってどう行けばいいですか?少し迷っちゃって。

ウエダ   あ!それはですねぇ、ここ出てもらって角を曲がった先に目印あるんで、そこ少し曲がればすぐですよー。

OL     そうだったんですか。ありがとう、助かりました。

ウエダ   いえいえ!気をつけてくださいね!

OL     …あぁ、よかったらこれ。私の電話番号。…良かったら、今夜空いてるから…かけてきてくれても良いのよ?ふふ、じゃあね。



オクダ   ウエダくーん。それ妄想だよー。電話番号とか一切渡さず行っちゃったからねー。

ウエダ   はっ…オクダさん…そんな現実突き付けないでくださいよー…少しくらい夢に浸らせてくれても良いじゃないすかあ。

イイダ   そうだぞウエダ。現実ってもんは非情だ。だからこそ俺たち男が自ら現実というものを飼いならさなければならん。

ウエダ   というと?

イイダ   クールな女なんてその内男をペット同然に扱う。飼われる前に飼えだ。つまりこういうことだ。




OL     今夜空いてるから…かけてきてくれても良いのよ?

イイダ   かけてきてくれても?かけて欲しいの間違いじゃないのか。お前から素直にかけて下さいお願いしますっておねだりできたら、相手してやるよ。

OL     はっ…か、かけて…下さい…。

イイダ   お願いしますが抜けてるぞ。何恥ずかしがってるんだ。俺だって暇じゃないんだぞ?このまま違う女に声かけたって…。

OL     言います!か、かけて下さい、お願いしますう…。

イイダ   いい子だなぁ、っはっはっは…。




オクダ   イイダ君…初対面の人相手にそれ言ったら普通は引かれちゃうと思うんだよねぇ。

ナガト   しかもなんか色々と危ない感じするし…。

イイダ   なんだ、これが普通だろ。

ナガト   アンタの普通はSMクラブかなんかか?!

イイダ   ん、静かにしろナガト。俺のSMセンサー…右腕が疼いている。

ナガト   今完璧SMって言ったよね!しかも右腕が疼くってなんなの?!そんな年じゃないでしょ?!

JK     ん、みっちゃんどしたん?えー、宿題やってへんの?見してって…もー…しゃあないなぁ。今度なんかおごってやー?

ナガト   へぇ、この辺じゃ見ない子ですね、しかも関西弁なんて珍しい…。

イイダ   そう、黒髪ストレート、膝下のスカート、黒ソックス…正統派黒髪JKの条件をフルコンプしてるJK…珍しい…。

オクダ   あ、そっちなんだ。

JK     んでどこのページから?え?全部?もー、みっちゃんどうせ彼氏と遊んでたんやろー、うらやましいわぁ。

イイダ   羨ましい、つまりあの女…フリーか!

ナガト   いや、彼氏と最近遊べてないって線も…。

オクダ   ナガト君、シー。

JK     ほんなら飲み物ついでに買ってきたげるわー。ふふふ、私えぇ子やろ?冗談冗談。ほんならあとでー。

イイダ   きた…来たぞ…俺のSM心がくすぐられる…良いぞ…!

JK     すいませーん、これシールで。

イイダ   シール?俺の所有物という証はそんな薄っぺらいシールなんかで良いのか?

JK     え?

イイダ   この飲み物…ふふふ、俺に飲ませて欲しいのか…良いだろう、これから俺に忠誠を誓うのならそうしてやっても良いぞ…。

オクダ   イイダくーん、現実に帰ってきてー。女の子困ってるからー。

イイダ   …147円です。

JK     は、はーい。…なんか変な人やなぁ。

イイダ   アランドロン不在でしたー…。

オクダ   ごめんねぇイイダ君。これ以上妄想入り込んじゃうとなんか危ない気がしちゃったから止めちゃったー。

ナガト   オクダさん…やっぱりオクダさんは俺の唯一の癒しだ…良かった…ちゃんとまともな人がいた…!!!

ウエダ   あ、ちなみにオクダさんってどんな人が好みなんすか?

オクダ   んー?…そうだなぁ。今の恋人が好みって言っておこうかな?

ナガト   えっ、オクダさん彼女いるんですか?

ウエダ   誰だれ?!オクダさんのジョカノ誰なんすか?!

オクダ   うん?ふふふ、それはねぇ…。

ナガト   それは?

オクダ   …店長。

ナガト   …店長?

オクダ   うん、店長。

店長    はーいみんなお疲れ様ぁー。店長が来ましたよー。

ナガト   え、他店舗の店長?

オクダ   ううん、あの店長。

店長    えー、皆どうしたのん、皆してわらわら集まって。

ウエダ   この店長?

オクダ   その店長。

店長    何ー皆して俺のこと店長店長ってー。今まで俺のこと店長ってちゃんと呼ばなかったのにー。

オクダ   僕はずっと店長のこと店長って呼んでますよぉ。

店長    そうだなぁ。あー、そういえばオクダ君、ちょっと話があるから一緒に来てねー。

オクダ   はぁい。じゃあちょっと、ごめんね。ちゃんと引継ぎの時間までには戻るから。

ナガト   は…はい…。

ウエダ   …すげぇな。オクダさん。なんか俺たちの一回り上を行ってるよな。

ナガト   えぇ…あ、オクダさん店長の腰に手回してる…。

ウエダ   うわぁ、あんな照れてる店長見たことない…。

イイダ   店長そっちだったのか…オクダさんも優しい顔して肉食系だな。

ナガト   …なんか、やめましょう。身内のあぁいう恋愛事情はあまり触れないが吉ですよ。

イイダ   あぁ…俺たちがやることはひとつだな、ウエダ。

ウエダ   そっすね、イイダさん。俺たちがやること…それは…二人の行く末を覗き見ること!!

ナガト   …は?何先輩二人してバック行こうとしてんですか!

ウエダ   俺飲み物の補充〜。

イイダ   俺トイレ。

ナガト   絶対うそだ!絶対うそだアンタら!覗きに行くんだろ!!!

ウエダ   大丈夫、バレないようにしてくるから。

ナガト   そういうことじゃないんだよ!あーもう!!皆仕事しろよー!!!!




おしまい。





お品書きに戻る