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 基山ヒロトという人物がよく分からない、自称宇宙人だったかと思うと元宇宙人になっていたし今はただのサッカー少年だと言う
 だけれどサッカーをしているヒロトはかっこいいと思う、放課後の教室からグラウンドを見詰めながらぼんやりと考えているとヒロトがシュートを決めた
 空高くボールを上げる動作とか、シュートするときになびく髪の毛とか、汗をぬぐう姿とか、やっぱりかっこいいかも
 頬に熱が集まるのを感じながら小さく息を吐く、ふう、運動している男の子って素敵だなぁ

 そんなことよりも私は手元にあるノートを書き写さないといけない、それが私が放課後に教室にいる理由なのだ
 昨日不運にも熱を出してしまい学校を休んだ分のノートを友達に借りたのだがそれを写しているのだ
 家でやればいいじゃないかと思われるかもしれないが家に帰ったらきっとやらない、忘れちゃうと思う
 それにちょうど私の席からだとグラウンドで練習をしているサッカー部が見られるし、一石二鳥ってことでよしとする
 手が痛くなるまで書いては休憩としてグラウンドを見る、これを繰り返しているとすっかり外はオレンジ色になっていてもうそろそろ一般生徒は完全下校の時間だ
 ちょうど借りた分を写し終えたころ、横目でグラウンドを見やるとサッカー部の練習も終わりを迎えているところで徐々に人が部室の方へと流れている
 その中に真っ赤な髪の毛がいてヒロトであると分かる、夕焼けのに染まる赤をぼんやりと見ているとヒロトが振り返って誰かと話し始めた
 私も帰る準備をするために視線を戻そうとした瞬間、ヒロトと目が合った、じっと私を見ているような気がして私も視線が離せなくなってしまった
 妙に気恥ずかしくなってしまい試しに手を振ってみれば、ふいと視線を戻されたしまった、やっぱり目が合ったのは気のせいかもしれない
 気を取り直してカバンにノートと筆箱を仕舞って帰える準備をしていると廊下から誰かが走ってくる音が聞こえてくる
 誰かが忘れ物でもしたのかと気にせず立ち上がりカバンを肩にかけたところで音の正体が判明した

「あれ、ヒロト……?」
「名前、まだ学校にいたんだ」
「あ、うん、昨日休んだ分のノート写してて……」

 どうやらヒロトはあの後急いで走って教室まできたらしい、あの時目が合っていたのは気のせいではなかったみたい
 ユニフォームのままだし泥だらけだしどうしたんだろう、そう思ってたずれてみればヒロトはにこりと笑った

「そんなに慌てて、忘れ物かなにか?」
「違うよ、名前がいたからさ」
「私がいたからここまできたの?」
「うん、だって俺は名前親衛隊だからね」

 わけがわからない、私がいるとヒロトは着替えもせず教室まで急いでくるらしい、しかも一人じゃ隊って言わないよ

「ふふっ」
「? どうしたの?」
「なんでもないよ、いいよ、一緒に帰ろ、校門で待ってるね」
「! マッハで着替えるね!」

 やっぱりヒロトってよく分からないや


それって恋じゃね?


(基山ヒロト/指定なし)

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