別にダイエットをしている訳でもないがあまりアイスなどを食べ過ぎないように心掛けていた私でもこの暑さには負けた のそのそと冷蔵庫まで足を動かして棒アイスを取り出したところでソファーに座ってテレビを見ていた風介がこちらに視線を向ける 「名前、わたしにもアイス」 自分で取りに来なさいなと思ったがそれで言い合いになるのも面倒なので仕方なしに私と同じ物を持って風介の隣に腰を下ろす 二人そろってアイスを食べながら夏休みのレジャー特集を見ていると晴矢がやってきた 起きたばかりなのか眠たそうに欠伸をする晴矢だったが私たちを見るや否や目を丸くして、すぐに不機嫌な表情になる それから私たちの間に割り込むように座った、ただでさえ暑いというのに晴矢が加わったことによりさらに暑苦しくなった 「晴矢そこ座られると暑いんだけど」 「どこに座ろうが俺の勝手だし」 何だその理屈は、反論するのも面倒なのでアイスを食べていると風介が小さく笑う テレビは相変わらずレジャー特集なので面白い場面はない、なぜ笑ったのか気になって晴矢越しに覗けばアイスを食べ終えた風介が口を開いた 「……ふっ、嫉妬か」 「へー、可愛いとこあるじゃない」 「っるせー!」 顔を赤くして怒られてもちっとも恐くない、むしろ可愛いと思ってしまった さらに風介にからかわれ言い争いに発展しそうになったところで、食べ終わったアイスの棒を晴矢の目の前に差し出してやる ゆらゆらと晴矢の口元で動かしているとしびれを切らしたのか手首を掴まれた、あと少しだったのに 「何なんだよ……?」 「いや、口に入れないかなって思って」 「棒食べる奴なんていねーよ」 「……名前、まさか」 私の意図を理解したのか風介がアホを見るような目を向けてきた、ムカついたので睨みつければ両手を上げた それからおもむろに立ち上がった風介は持っていた棒をゴミ箱に捨てて自室の方へ去っていった 「何だよあいつ」 「そんなことより棒食べる?」 「だから食べねーって!」 「ちぇー、やきもち焼いてくれたからお礼に間接キスさせてあげようとしたのに」 「はあっ!?」 顔面を髪と同じくらい赤くさせた晴矢を放ってゴミ箱に棒を捨てた ソファーで固まってる晴矢の足の上に跨って、潤いのない晴矢の唇に人差し指をくっつける そして満面の笑みで顔を近づけ、口を開く 「それとも、ここに直接がいい?」 こくりと頷いた晴矢にキスをすればテレビのレジャー特集が終わる音が聞こえた、海にでも行きたいなぁ |